研究課題/領域番号 |
22K03752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
行竹 洋平 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20435853)
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研究分担者 |
金 亜伊 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (00633851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 群発地震 / 非地震性すべり / 相似地震 / 地殻流体 / 機会学習 / 機械学習 / 地震検出 |
研究開始時の研究の概要 |
プレート境界では通常の地震波を励起せず断層すべりがゆっくりと進展するゆっくり滑りが起きていることが知られている。一方、火山を含む内陸域でもゆっくり滑りが起きているかどうかについてはいまだ不明な点が多い。プレート境界でのゆっくり滑りにともない群発地震活動が起きる場合があることから、本研究では群発地震とゆっくり滑りとの関係に着目する。火山を中心に様々な領域で発生する群発地震から相似地震を検出し、ゆっくり滑りを推定することを試みる。その際、高精度な震源カタログの整備が必要となるため、機械学習手法を活用する。火山やその周辺域での同現象の検出を通して、発生機構や物理背景のさらなる理解につなげる。
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研究実績の概要 |
本年度は、箱根火山において昨年度までに構築された群発地震の震源カタログをもとに、2009年、2015年及び2019年に発生した群発地震活動を対象に、相似地震の検出、傾斜計を用いた地殻変動の検出と断層モデルの構築、震源の時空間発展の推定を行い、群発地震に伴う非地震性滑りの寄与に関する検証を進めた。各群発地震期間中において傾斜変動が検出され、その結果に基づいた断層モデルの推定を行った。震源分布をもとに推定した断層面に横ずれ及び開口成分を仮定することにより(ただし、2015年は横ずれのみ)観測された傾斜変動を説明できることが分かった。この断層モデルから求めたモーメントと地震積算モーメントの比較から2015年の群発地震の際には約90%のモーメントが非地震性滑りにより解放されていることが明らかになった。2009年については非地震滑りの寄与を明確に示す結果は得られず、また2019年は約60%と推定された。また2015年は他の期間と比較して速い震源移動が認められ、この結果も非地震滑りの発生を示唆している。2015年の群発地震活動について非地震滑りの寄与が大きいことについて、この期間に水蒸気噴火の発生など明瞭な地表面現象がみられ、カルデラ内の流体圧が高い状態にあり、そのことが断層の摩擦特性を変化させ安定的な滑りの発生が促進されたと考えられる。2015年と2019年については相似地震が検出されたが、これらがプレート境界と同様に周辺の安定滑りにより発生した現象なのかどうか今後さらに検証を進める必要がある。さらに機械学習を用いてより高精度な震源カタログを推定するための手法開発も進めた。今年度は転移学習を取り入れた地震波の自動検測手法の開発を進めるとともに、自然言語処理で広く利用されているTransformerを用いたフレームワークを利用し火山性地震のタイプの分類をする手法開発も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては機会学習による震源カタログ推定の手法開発、箱根火山での群発地震に伴う非地震滑りの寄与について検証と議論を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
構築されたシステムをもとに他の火山でも震源カタログの構築を進め相似地震の検出を試みる。火山域で検出された相似地震と非地震滑りとの関係についての検証を進め、結果の取りまとめを行う。
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