研究課題/領域番号 |
22K03761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石丸 聡子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60464046)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カンラン岩 / 脱蛇紋岩化 / マントルウェッジ / スラブ流体 / 交代作用 / 変成作用 / ウェッジマントル / スラブ流体/メルト |
研究開始時の研究の概要 |
ウェッジマントル内の様々な深度(最上部および最下部=スラブ上面)に由来する超苦鉄質の特徴からウェッジマントル内の物質学的構造および物理条件の空間的変化について解析をおこなう.スラブから放出された直後の流体およびメルトの化学的性質/物性データを取得し,これまで捕獲岩の解析から得られた成果を総合的に評価することで,ウェッジマントル全体での元素移動形態やその過程についてモデルを提案する.
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研究実績の概要 |
ウェッジマントルでの改変作用を経験したカンラン岩/蛇紋岩体試料をもちいて,スラブ流体による物質学的・化学的変化の痕跡の有無やその程度の定量的な見 積もりを達成するために解析を進めている。 北極圏ウラル地域ライイズ岩体中に存在する直方輝石に富む変カンラン岩岩ついての解析をすすめ,マントルウェッジ内でどのような履歴を経て地表に露出するに至ったのか,鉱物組合せの変遷と鉱物科学組成の変化から検討をおこなった。その成果を日本鉱物科学会年会で発表をおこない,更に発展した内容を学術雑誌に投稿し査読中である。関連した研究として,長野県北西部の河床暦として産する蛇紋岩についての成果を発表した(荒井ほか,2023_地質学雑誌)。 また,熊本県に分布する黒瀬川帯中の超苦鉄質岩体についても解析を進め,形成場の推定をおこなった。変成作用時に形成されたと考えられるチタンに富む鉱物集合体が観察され,低温での金属元素の移動条件について新たな知見が得られる可能性があり,次年度も引き続き解析を進める。 変成作用中の金属元素の移動に関しては,元々スピネル中に存在していたチタンが変成作用中に溶脱し,チタノクリノヒューマイトが濃集する脈の存在が知られている四国中央市に露出する変成カンラン岩体(藤原岩体)において,地質調査をおこない岩石試料を採集した。岩石試料および作成した岩石薄片は実体顕微鏡と偏光顕微鏡で観察を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査で試料を採集し処理を進めているところであるが,機器分析にまで至っていない試料も多くある。2024年度は外部への分析依頼をすすめるなどして,研究課題推進に必要なデータを効率的に揃えることを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に採集した四国中央市の藤原岩体試料の解析を進める。藤原岩体中のチタノクリノヒューマイト濃集脈には,変成流体との反応によって形成されたと考えられる特異な鉱物が他にも存在し(石丸ほか 2009_日本鉱物科学会年会要旨),スラブ流体による元素の移動運搬過程を検討するには重要な試料である。また,既に採集している北極圏ウラル地域のカンラン岩体中に産するヒスイ輝石岩脈の解析を進め,ヒスイ輝石を結晶化させるに至った流体の性質についても検討する。 2023年度より進めて来た流体包有物の解析や鉱物微量元素組成の定量がいまだ不十分なため,データを揃える。 最終的に得られたデータから,スラブから放出された流体がマントルウェッジ内を移動する際に引き起こされる相互反応について考察し,研究総括をおこなう。
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