研究課題/領域番号 |
22K03762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
佐藤 英一 気象庁気象研究所, 火山研究部, 主任研究官 (80614023)
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研究分担者 |
新堀 敏基 気象庁気象研究所, 火山研究部, 室長 (00553166)
石井 憲介 気象庁気象研究所, 火山研究部, 研究官 (50742730)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 火山噴煙 / 凝集 / 二重偏波気象レーダー |
研究開始時の研究の概要 |
火山噴火による噴出物(火山灰・レキ・岩塊)の量を把握することは、対象となる火山や火山噴火という現象を理解するために必要である。しかし、噴煙の内部プロセスは複雑であり、噴出物量を精度良く観測することは現状難しい。特に火山噴煙内部で発生する凝集(細かい火山灰が水を媒介として付着・結合する現象)プロセスは、火口周辺の噴出物分布を知るために重要であるが、その発生頻度の低さ・現象の複雑さ・観測の難しさから、世界的にも研究が進んでいない。 本研究はターゲットの粒子形状(縦横比など)に関するデータが取得可能な二重偏波レーダーを用い、噴煙内部で発生する凝集を観測し、プロセスの概念モデルを提案する。
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研究実績の概要 |
本年度は、年度前半にMRI-XMPによる観測を実施し複数の事例データを取得したが、年度後半は9月に発生したMRI-XMPの故障により、単偏波のみでの観測となった。 大気プロファイルデータを蓄積するシステムの構築を行った。GPVは、気象庁メソ解析(MA)データを利用している。事例解析の結果、噴煙内部における凝集の有無を判別するためには、高層気象データ(9時・21時)だけでは不十分で、なるべく噴火時間と近い時刻の解析値を使う必要があることを確認した。 2DVDに関しては、障害期間もあるが、現地観測を行っている。また、桜島でキャンペーン観測(2/27-3/1)も行った。観測期間中、凝集の発生するような噴火は無かったが、降灰観測作業の習熟とサンプル取得を行った。 火山灰の大気輸送モデル(JMA-ATM)において、凝集の効果を反映させる方法の検討を行った。検討の結果、移流拡散モデルの微物理過程としてではなく、初期値となる噴煙モデルにおいて、凝集の効果を反映させることとした。 日本地球惑星科学連合2022年大会(JpGU2022)・日本火山学会2022年度秋季大会において、事例解析結果を発表した。解析事例では、噴煙内部において、反射因子差(ZDR)を呼ばれるパラメータが0に近い値を取っていた。ZDRは粒子形状が球の場合に0になることが知られており、噴煙内部で球状の噴火豆石(凝集の一形態)が発生していた可能性がある。JpGU2022においては、気象庁現業レーダー(福岡)を用いた2021年阿蘇山噴火の事例解析も行った。本事例については、噴煙エコーに含まれる水物質が多量であったことが確認できた。国際火山学及び地球内部化学協会学術総会2023年大会(IAVCEI2023)において、二重偏波気象レーダーを用いた火山灰量の推定手法に関する発表を行った。本手法は、凝集の検知にも応用することが出来る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標としていた、レーダー・2DVD・現地観測も実施し、高層プロファイル(高層気象データ・GPV)と併せた解析も進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
MRI-XMPが故障したため、二重偏波気象レーダーに関しては、過去データおよび現業レーダーを用いた解析を進めることとする。降灰観測(2DVD・現地)については、引き続き実施し、凝集データの収集を目指す。
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