研究課題/領域番号 |
22K03766
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
山本 揚二朗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 主任研究員 (10540859)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 南海トラフ / 地震活動 / スロー地震 / 海底地震観測 / DONET |
研究開始時の研究の概要 |
南海トラフは将来の巨大地震の発生が危惧される領域にも関わらず、プレート境界地震活動の実態が不明である。また、プレート境界上の活動と考えられているスロー地震についても、陸上観測網からは検知できない地震が多い。本研究では、海域観測網を活用し、陸上から検出されない微小地震・スロー地震の検出を行うとともに、これらの活動の発生位置を明らかにする。そして、プレート境界上の固着状態の揺らぎに起因する通常地震・スロー地震の時空間変化のモニタリング精度を上げ、地震発生帯の実態把握を達成する。さらに、国等における、地震発生帯の現状評価等にも貢献する。
|
研究実績の概要 |
今年度は通常地震・超低周波地震ともに、データの拡充に集中して取り組んだ。通常地震については、2021年4月から2023年12月までのデータの解析を終えるとともに、エアガン発振期間など、一部歯抜けになっていた過去分の穴埋めを実施した。現在、2024年1月以降のデータ処理を進めている。また、本課題開始前までの、2015年10月から2019年4月におけるデータセットを用いた、DONET観測網の地震検知能力とその時空間変化の検出に関する共同研究を開始し、共著論文として投稿した。今後、データの拡充に伴い解析期間を伸ばしていく計画である。 また、超低周波地震活動については、当初計画にあった2018年の活動について解析を進め、3月分の処理を終えた。残りは4月から6月の3ヶ月間である。さらに、2023年9月に、DONET2のEノード付近で発生したイベントの解析を行い、気象庁検討会や地震調査委員会に報告した。2018年の活動がDONET2のE,F,Gノードにまたがって分布していることから、2023年の活動についても、2022年にDONET2のF, Gノード付近で発生した活動と合わせて、今後2018年の活動と比較検討を進める材料となる。 さらに、超低周波地震解析において、機材整備や入れ替えに伴う地震計設置方位の変化に対応するため、DONET広帯域地震計の設置方位の推定を実施し、2023年度地震学会秋季大会にて発表した。方位推定に用いている地震データを精査することにより、時間変化として見えていた地震計方位の揺らぎの一部の原因がデータセットの組み合わせにあり、基本的にはセンサーの入れ替えなど現地作業が発生していない間は、設置方位はこれまで以上の精度で安定している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年2月にトルコで発生した地震に関する特別研究促進費(22K21372:代表 楠浩一)に参画したことや、2023年日本地震学会秋季大会のLOC業務担当となるなど、本件以外の業務が多忙となったため、予定より進捗が遅れている。 通常地震のデータ拡充については、関係機関との連携を深めることで効率的に進めることができたが、3次元速度構造での震源決定には至っていない。超低周波地震の解析は予定通り進めているが、2018年の活動は非常に活発で数が多いため、完了まではさらなる時間が必要である。一方で、DONET観測網の検知能力評価という、当初計画になかった項目を、共同研究として開始することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
通常地震については、カタログ拡充を進めるとともに、これまで蓄積してきたカタログを元に、初年度に構築した3次元速度構造を用いた震源決定を行う。また、これらの処理を自動的に実施できるような環境構築を進める。 超低周波地震については、2018年3月から6月までの活動の解析を進め、2022年の活動との比較検討を行うことで、発生場の理解を進める。 さらに、震源決定結果を用いた地殻活動情報の社会への発信にむけた検討を進める。特に、地震活動度の時間変化を判断し、通常状態を定義するとともに、それと異なる状態になっている時期を視認できるような方法を検討する。
|