研究課題/領域番号 |
22K03769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
篠崎 彩子 北海道大学, 理学研究院, 助教 (80570506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 沈み込み帯 / 炭化水素 / C-O-H流体 / 堆積物有機物 / 高温高圧実験 / ダイヤモンドアンビルセル / GCMS / アルカン / GC/MS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では沈み込むスラブにおける炭素リザーバーの1つである堆積物有機物に着目し、その重要な構成要素のアルカンを対象に、スラブの環境を再現した高温高圧実験から、化学反応が起きる温度圧力条件や反応生成物の変化、共存鉱物が与える影響を調べる。反応生成物の質量分析等を用いた定量的評価により、スラブの沈み込みに伴う堆積物有機物の化学反応の詳細を評価する。本研究によりどのような化学的特徴を持つ炭素化合物がどの程度マントルへと供給されるのか、あるいは地球表層へと再循環するのかを解明することが目標である。
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研究実績の概要 |
地球表層から地球深部へと物質が供給される唯一の領域である沈み込むスラブにおいて、堆積物有機物は二酸化炭素などの揮発性流体や炭酸塩鉱物などの無機鉱物と並ぶ重要な炭素のリザーバーであり、その安定性や化学反応を理解することは、全地球規模での炭素循環の解明のために必要不可欠である。本研究では堆積物有機物の重要な構成要素である炭化水素に着目し、スラブに相当する高温高圧条件での炭化水素の安定性や化学反応を明らかにすることで、地球表層から深部への堆積物有機物を介した炭素循環メカニズムの理解に寄与することを目標としている。 計画初年度の本年度はスラブの高温高圧条件を想定した室内実験を進め、長鎖アルカンやアルケンをはじめとするいくつかの有機物をモデル物質として用い、化学反応が起きる温度圧力条件を評価し、さらに反応により得られる生成物を調べることでその反応機構を検討した。ダイヤモンドアンビルセルやピストンシリンダーを用いた高温高圧実験および、高温高圧下その場ラマン測定や、回収試料のラマン・赤外分光測定、さらにはGC/MSをはじめとするいくつかの質量分析法により反応が起きた温度条件を調べ、反応生成物を定性、定量的に評価した。その結果を基に、反応メカニズム、それらに対する圧力依存性を検討した。特に、長鎖アルカンの高温高圧下における反応速度と、化学反応メカニズム、さらにその圧力依存性を明らかにし、学会での発表、国際学術誌での成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に反応の温度圧力条件、反応メカニズムの概要を調べるための、外熱式ダイヤモンドアンビルセルと高温高圧下ラマン測定を組み合わせた実験と、詳細な反応メカニズムを調べるためのピストンシリンダーによる高温高圧合成と回収試料の化学分析を組み合わせた実験の二つの手法を用いて実験を進めた。複数のモデル物質を対象に、反応の温度条件や具体的な反応メカニズム、さらにはその圧力依存性を調べた。GCMS装置にトラブルがあり、当初予定よりやや遅れているが、それ以外の実験の進行は順調である。新たな試料回収装置の設計が上記トラブルの対応のため、やや遅れている
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今後の研究の推進方策 |
揮発性反応生成物回収のための装置の設計、製作を進め、分析手法を検討していく。高温高圧実験後の回収試料中にGCMSによる同定が難しい高分子量の反応生成物が見られることから、他の質量分析手法など、新たな評価方法を検討していく。今後より実際の沈み込み帯の環境を想定しては、いくつかのケイ酸塩鉱物と共存する条件での実験や酸化還元条件をコントロールした条件での実験を進めていく計画である。
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