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水熱実験による土壌性磁性鉱物の生成

研究課題

研究課題/領域番号 22K03779
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17040:固体地球科学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

兵頭 政幸  神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 名誉教授 (60183919)

研究分担者 瀬戸 雄介  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10399818)
ブラダック・ハヤシ バラージュ  神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (10919509)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード水熱実験 / レス / 磁鉄鉱 / 赤鉄鉱 / 超常磁性 / 単磁区 / Vortex state / 土壌化 / 中国レス / 帯磁率増加 / 土壌性磁性鉱物 / 酸化鉄 / 層状珪酸塩
研究開始時の研究の概要

中国レス層の帯磁率が東アジア夏季モンスーンの指標として利用される理由は、夏季降水量の増加が土壌化を促進し磁性鉱物を新規生成して、帯磁率が増加するためである。しかし、生成される磁性鉱物の形状や生成場所は分かっていない。最近本研究代表者らにより土壌中の層状珪酸塩鉱物内にナノサイズの酸化鉄粒子を大量に発見され、それが土壌性磁性鉱物の有力候補の可能性が出てきた。本研究では層状珪酸塩鉱物内での酸化鉄の生成を実験室で再現し、それが帯磁率増加の主因になる証拠を出す。また、土壌性酸化鉄の生成速度を見積もり、ダスト堆積後土壌化が数年かそれ以下で起こる証拠を示して、古気候学の問題も解決する。

研究実績の概要

前年度のレス試料を用いた水熱加熱実験により、200℃の一定温度で加熱時間を変えると、時間に比例して帯磁率が増加することが明らかになった。そしてその増加の原因は、超常磁性(SP)の磁鉄鉱と赤鉄鉱の生成であることも分かった。ただし、時間とともに帯磁率が一様に増加するのではなく、ある時間の区間減少が起こり、それを越えると再び増加に転じることが分かった。この減少は元から含まれていた砕屑性磁鉄鉱粒子の高温酸化が原因であると解釈されていた。今年度はこれらの実験結果を異なる温度でも再現できるか調べた。また、SPより大きい単磁区(SD)やVortex stateサイズの粒子の生成の有無についても調べた。
温度200℃での追加実験を行い、170℃での1~1400時間の水熱加熱実験を行った。そして、実験後の試料の磁気ヒステリシス測定、IRM獲得実験・解析も行った。その結果、時間とともにSPサイズの磁鉄鉱・赤鉄鉱粒子の増加で帯磁率が増加する。途中一時的に減少するが増加し続けピークを過ぎると一様に減少する。一時的な減少とピークは200℃の方が短い時間で起こっている。単位時間当たりの増加率は200℃の方が大きい。SDサイズ以上の磁鉄鉱、赤鉄鉱も増加することも分かった。そして、ある加熱時間帯で帯磁率が減少する現象は、SDサイズ以上の磁鉄鉱の大幅な減少に起因する。その減少は生成したSD磁鉄鉱の高温酸化による赤鉄鉱化である可能性が高いことが分かった。150℃での水熱加熱実験、帯磁率測定を行い、200℃、170℃の実験結果の再現性を確認した。帯磁率増加率は、150℃、170℃、200℃の順に大きくなることも確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

レスの土壌化による帯磁率増加の原因が、まずSPサイズの磁鉄鉱と赤鉄鉱の生成によることの確実な証拠を得ることができた。そして、残留磁化を持つSDサイズ以上の磁鉄鉱と赤鉄鉱の生成も起こっており、加熱時間に比例して増加することも確認できた。さらに、異なる温度で異なる帯磁率増加速度が確認できたので、自然界での土壌性磁性鉱物の生成速度を見積もるめどがついた。残留磁化に寄与する磁性粒子も生成されることが分かり、古地磁気の磁化固着深度の問題解決に貢献できる可能性も出てきた。

今後の研究の推進方策

今後は帯磁率の加熱時間による増加速度を正確に見積もることに集中する。レス試料にはマグヘマイトが含まれており、水熱加熱によるマグヘマイトの分解に伴う帯磁率変化成分が存在することが考えられる。これを除去することで正確な帯磁率増加速度が出せて、自然界での増加速度の正確な見積もりにつながる。そのためにはIRM成分解析が重要となる。また、X線回折と査型電子顕微鏡観察を行って、水熱加熱により磁鉄鉱、赤鉄鉱が生成されることの磁気的証拠以外の証拠も得る。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] 中国地質大学(中国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] The magnetic susceptibility of Pleistocene paleosols as a martian paleoenvironment analog2022

    • 著者名/発表者名
      Balazs Bradak, Akos Kereszturi, Vilmos Steinmann, Christopher Gomez, Diana Csonka, Masayuki Hyodo, Jozsef Szeberenyi, Agnes Novothny, Tamas Vegh, Gabriella Barta, Alzbeta Medvedova, Pavel Rostinsky, Enikko Mihaly, Viviana Jo, Erzsabet Horvath
    • 雑誌名

      Icarus

      巻: 387 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1016/j.icarus.2022.115210

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] レス・古土壌試料を用いた土壌性磁性鉱物生成の水熱実験2024

    • 著者名/発表者名
      兵頭 政幸, 瀬戸 雄介, ブラダック バラージュ
    • 学会等名
      令和5年度 高知大学海洋コア国際研究所 共同利用・共同研究成果発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 土壌性磁性鉱物生成の水熱実験(予報)2023

    • 著者名/発表者名
      兵頭 政幸, 瀬戸 雄介, ブラダック バラージュ
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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