研究課題/領域番号 |
22K03781
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
辻 智大 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (90849209)
|
研究分担者 |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 阿蘇4火砕流 / 火砕流の定置温度 / 熱残留磁化 / 幸屋火砕流 / 海を渡る火砕流 / 火砕流 / 長距離移動 / 海 / 制約 / 定置温度 |
研究開始時の研究の概要 |
火砕流の密度が海水よりも小さい場合,火砕流は水面を流走して長距離移動すると考えられています.しかし,海域での火砕流の挙動は複雑であり解明されていません.そこで本研究では,9万年前の阿蘇カルデラの噴火による阿蘇4火砕流に対して2つの方法を用いることで,「海が火砕流の移動を抑制するのか?」を検証します. 1)阿蘇4噴火当時の海域と火砕流の分布の関係を調べる. 2)火砕流堆積物の性状や定置温度を調べる. 本研究が成功することによって,大規模火砕流による被害の軽減につながることが期待されます.
|
研究実績の概要 |
1)阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定:熊本県阿蘇市,阿蘇郡,大分県中津市にて採取した阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定を実施した.その結果,一部の試料にて初生残留磁化を保持していると見なせる結果が得られた.これらを用いて九州北部と中国地方における阿蘇4火砕流堆積物の定置温度を比較した結果,瀬戸内海を隔てて定置温度が有意に低下しているとは見なせないとの結論に至った.これは,阿蘇4噴火当時,瀬戸内海の海水面が低下して陸化していた可能性を示すものである. 2)海を渡った幸屋火砕流:鹿児島県種子島,薩摩半島,薩摩硫黄島にて,7,300年前に鬼界カルデラから発生した幸屋火砕流堆積物の試料採取および古地磁気分析を実施した.その結果,一部の試料にて初生残留磁化を保持していると見なせる結果が得られ,海を隔てた先の火砕流堆積物の定置温度は供給源地域のものと比較して優位に低いものであった.これは海が火砕流の移動に影響を与えたことを示すものである. 3)非溶結火砕流堆積物の定置温度を精度よく測定するために,採取~測定までの手法を見直し,適切なサンプリング,保管,測定などの方法を試行錯誤するため,ケーススタディを実施した. 4)2023年10月に鹿児島市で開催された日本火山学会2023年度秋季大会に参加して,「熱消磁実験による九州中北部 Aso-4 火砕流堆積物の定置温度」という題目で口頭発表を,「大隅半島南部における幸屋火砕流堆積物の定置温度条件の検討」という題目でポスター発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,阿蘇カルデラから山口県に流れた阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定を実施することができた. 鹿児島県種子島,薩摩半島,薩摩硫黄島を調査し,幸屋火砕流堆積物の試料採取および熱残留磁化測定を実施することができた. 測定結果が良好でないものが多く,定置温度を精度よく決定することが課題である.これに関して,ケーススタディを実施した. 日本火山学会に参加して成果発表を行うことができた.
|
今後の研究の推進方策 |
1)最新鋭のサンプリング装置を用いて,熊本県~大分県における阿蘇4火砕流堆積物の試料採取,熱残留磁化測定を実施し,定置温度を精度よく決定する. 2)海を渡った幸屋火砕流:インドネシアのクラカタウ火砕流もしくはニュージーランドのタウポ火砕流にて,水域を渡った火砕流の定置温度を議論する. 3)2024年10月に札幌市にて開催される日本火山学会に参加し,学会発表する予定である.
|