研究課題/領域番号 |
22K03785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
下司 信夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (70356955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 割れ目噴火 / マグマ減圧率 / メルト包有物 / 桜島 / 火山 / 噴火 / マグマ / 火道 |
研究開始時の研究の概要 |
高い時間精度でその噴火推移が記録され,また現存する噴出物の噴火推移にそった対比が行われている桜島大正噴火をおもな対象とし,噴火の開始から終息に至る時系列に沿ったマグマ噴出率を噴出物分布解析により復元し,また火道内マグマ上昇速度を噴出物中の水拡散プロファイル解析により明らかにし,それらを総合して火道形状と火道内過剰圧の変化を噴火開始から爆発的噴火終了までの期間追跡する.
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研究実績の概要 |
桜島の代表的な割れ目噴火である大正噴火、安永噴火、文明噴火の噴出物の層序解析による噴火推移の把握を行うとともに、それぞれの噴出物から層序に沿って試料を採取し、その時間変化を解析した.大正噴火の噴出物は桜島の東部黒神地区および西部の湯之平地区で、東西の火口列の試料をそれぞれ採取した.とくに西部の湯之平地区では噴火最初期の細粒噴出物を見いだしその採取に成功した. 桜島大正噴火の噴出物のガラス包有物の含水量とその水拡散プロファイルを取得し、噴火層序に沿って噴火最初期からプリニー式噴火最盛期、その後の火山灰放出期の6試料を比較した.ガラス含水量は、EDSを用いた酸素定量による含水量推定方法を用いた.ガラス湾入部の含水量変化を60プロファイル以上取得し、マグマ噴出時の温度・ガラス化学組成から推測されるシリケイトメルト中の水の拡散速度を用いて、プロファイルから推測される平均的な減圧速度を推測し、それを層序に沿って検討した.その結果、噴火初期の爆発性がやや低い最初期には減圧速度は低かったものが、爆発性の高い初期の軽石噴火ステージではマグマ減圧速度が上昇し、5×10^4Pa/s程度まで加速した.その後、軽石噴火に引き続く火山灰放出ステージの噴出物では過剰圧が低下し、低い減圧速度で噴出していたことが判明した.軽石噴火ステージ内での時間変化ははっきりとした傾向を見出すことは難しかった.また、得られたマグマ上昇速度から割れ目火道の開口幅はプリニー式噴火最盛期でも1m程度であることを明らかにし、これは測地学的データから期待される開口幅よりも1桁小さい開口幅であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
桜島の3回の割れ目噴火の噴出物の野外調査及び試料採取を実施し、最新の大正噴火噴出物を中心としてメルト湾入部の含水量及び含水量プロファイルの測定とそれによる減圧速度の予察的な結果を得ることができた.とくに大正噴火については層序に沿った試料採取とプロファイル解析を実施し、噴火推移に沿ったマグマ減圧率の変化を抽出した.年度後半二十氏予定であった、より古い二つのプリニー式噴火に対する解析は、担当者の機関間異動などのため、計画よりも遅れている。また、同様の手法を用いて解析した姶良カルデラの噴出物の含水量プロファイルとそれに基づくマグマ溜まり減圧過程の国際論文を公表することができた.
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今後の研究の推進方策 |
大正噴火についてはデータ整理を行い、マグマ上昇速度の時間変化についてとりまとめ論文公表を行う.文明・安永の二つの噴火に関しては、大正噴火と同様に減圧速度の推測をガラスワン入部を用いて実施する。大正噴火については気泡数密度解析を実施し、マグマ減圧速度について独立な情報から支持情報を得る。
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