研究課題/領域番号 |
22K03786
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
田中 智 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30249932)
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研究分担者 |
佐伯 和人 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50292363)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 無人航空機 / ペネトレータ / 南極 / 地震 / インフラサウンド / 地震観測 / 自動操縦 |
研究開始時の研究の概要 |
南極観測の地球物理的観測(地震、測地など)は基本的には人によって設置作業が行われている。しかしながら流動速度の早い氷河や海氷上など、観測点としての価値がありながら人が到達不可能な地点が多数存在している、本研究ではこれらの課題を解決するために、貫入型観測プローブ(ペネトレータ)を無人航空機で搬送、投下し完全無人で観測点を設置することが目的である。この技術を開発することにより、広範囲かつコストエフェクティブに観測点設置を可能にし、南極域の科学を大きく促進させることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、南極域において人が設置が困難な氷山、クレバスなどの場所に上空から投下可能な高速貫入型観測機(ペネトレータ)を設置するための無人航空機による投下技術を確立することである。本技術を確立させることにより観測範囲を広げ、かつこれまで不可能とされている場所に観測可能にすることで南極域へのサイエンスを大きく進展させることにつながる。このために、長距離航続距離を可能な有翼無人航空機(UAV)への観測機搭載、および投下システムを開発し、南極域にて実証することが本研究の到達点である。 UAVを用いた観測装置の投下設置技術は火山地域において確立したが(基盤研究(A)「無人機を用いた落下貫入型火山観測プローブの開発および西之島新島での実証観測」(15H01793))、南極域という特殊環境への適用化に加え、必ずしもUAV操縦技術が十分とは言えない南極観測隊員でも容易に操縦できるように自動化のシステムを極力取り入れることで実用化への道を開く。なお、本研究は令和4年度から開始した極地研究所萌芽研究「ペネトレータの開発と白瀬氷河および周辺域での集中観測」と並行して進められている。萌芽研究においては、観測機器(ペネトレータ)の開発を実施しており地震計やインフラサウンドセンサーの実装や南極域での試験運用の実施などを行い、概ね順調に進められている。本研究ではペネトレータを搭載および投下を行うインフラ(UAV)の開発を行うことを主眼としている 2年目においては2022年度に開発を行った自動操縦アルゴリズムを実装したUAVコントールシステムを南極域に持ち込み大陸氷床での運用試験を実施した。南極域での機体組み立ておよび自動運用を行うプログラム実装を成功させた。しかし極寒地域における機体の調整不備などの理由により推進力が得られないなど機体エンジンの原因により離着陸試験を成功させることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は南極行きでの試験を行うために、(1)「無人航空機を南極域に適応させるための自動操縦のチューニング、(2)国内におけるオペレーション訓練、および(3)南極域での実証テストを実施した。(1)、(2)に関しては国内での離着陸試験を完了し(3)では実際に南極大陸での実証テストを第65次観測隊(研究代表者)によって実施した。機体の組み立てやプログラムの実証は問題なく行うことができたが、厳しい時間的制約条件と気象条件の差異によりエンジンの調整などが十分行うことができず、機体の推力不足が主原因となり離着陸試験を完成させるには至らなかった。しかしながら、現地でのオペレーション方法などを確立することができ、本システム完成にむけて重要な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度においては令和5年度に得られた知見をフィードバックさせて改善策を施した上で本計画の主目的であるUAVの自動操縦システムを確立させる。本機体を実際に南極で実施するかどうかは、次期南極観測隊(66次隊)のスケジュールや制約条件を勘案して慎重に検討する。状況によっては国内にて実施する可能性も検討する。
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