研究課題/領域番号 |
22K03787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
吉田 晶樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 主任研究員 (00371716)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 超大陸サイクル / 大陸 / 海水準変動 / 海洋プレート / 海洋底 / フラットニング / 水深 / マントル / マントル対流 / 大陸移動 / プレート運動 / 数値シミュレーション / 理論解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題では,三次元全球マントル対流の数値シミュレーションの手法により,超大陸サイクルが数億年スケールから数千万年スケールの海水準変動に及ぼす影響について定量的な理解を深める。そのために,まず,超大陸の形成と分裂の繰り返しを再現するマントル対流モデルを構築する。次に,さまざまなモデルパラメータのもとで系統的なシミュレーションを実施し,各時代における海洋プレートの平均年代に基づき,海水準の時間変動を解析する。そして実際の地球における顕生代の海水準変動の傾向と,シミュレーションから求まる海水準変動の傾向とを対比させ,超大陸サイクルが海水準変動にどのような影響を及ぼすかについて明らかにする。
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研究実績の概要 |
地球史における大陸の離合集散や超大陸の形成の繰り返し(超大陸サイクル)のさまざまなシナリオを考慮した理論モデルを用いて、超大陸サイクルが数億年スケールの海水面の高さの時代変化(海水準変動)に与える影響を推定した。 現実の地球では約2億年前に超大陸パンゲアが分裂を開始し、また、約3億年後までには次の超大陸が形成されることが、地質学・古地磁気学的研究やマントル対流の数値シミュレーション研究から予想されていることから、本研究では、過去の2億年前から未来の3億年後まで、5億年間の海水準変動を解析することを試みた。その際、約2億年前と現在の海水準が同程度であるという層序学や堆積学に基づく観察事実に基づいて、2億年前の海水準を0メートルとし、その基準からの相対的な海水準変動を計算した。 その結果、実際の地球における約2~3億年周期の海水準変動を復元するためには、海洋底観測で古くから知られている、海洋プレートがある年代(海嶺で生成されてからおおよそ6000万~8000万年)より古くなると海洋底(水深)が一定の深さに緩やかに推移する、いわゆる「フラットニング(平坦化)」の効果が重要であることがわかった。 いくつかの先行研究から、海洋プレートのフラットニングはマントルの大規模な対流運動によって、海洋プレートそのもの、つまり、海洋底が持ち上げられるために起こっている可能性が指摘されているため、本研究の結果は、固体地球の内部変動と地球表層の環境変動との関係について新しい研究の枠組みを与えるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、超大陸サイクルを考慮したマントル対流の簡単な理論モデルを用いて、超大陸サイクルと海水準変動との関係を定式化して理解することを考えた。研究計画の段階では、この方法はアイデアとして完全に煮詰まっていなかったが、本研究を進めていくなかで、特に、海洋プレートのフラットニング(平坦化)の効果が重要であることに気付いた。その研究成果の一部を高インパクトファクターの査読付き国際誌(Gondwana Research)に出版することができ、所属組織からプレスリリースも行ったので、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、超大陸サイクルと海水準変動との関係の定式化のみならず、同じ理論モデルを用いて超大陸サイクルと地表面熱流量との関係を定式化し、超大陸サイクルのさまざまなシナリオのもとで、過去2億年間で地表面熱流量がどれくらい変化したかを調べ、地球そのものの冷却による地表面熱流量の変化と比較する予定である。 本研究で扱った理論モデルは超大陸サイクルの対極的なパターンに基づく簡単なものである。しかし、例えば、過去2億年間の地球では、海洋プレートの運動速度の地球平均が現在よりも1.5倍以上大きかった時代もあり、本研究で外海の海洋プレートの運動速度を一定としたモデルでは、第一次海水準変動より一桁小さい数千万年スケールの「第二次海水準変動」の原因を議論するには不十分である。将来的には、より現実的な超大陸サイクルのシナリオのもとで、本研究ではまだ扱っていない、さまざまな地球物理学的パラメータや条件を考慮したモデルに発展させる予定である。
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