研究課題/領域番号 |
22K03789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
新井 隆太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), 副主任研究員 (20738752)
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研究分担者 |
古市 幹人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), グループリーダー (50415981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 海山 / 地震波速度異方性 / 応力場 / 個別要素法 / 日向灘 |
研究開始時の研究の概要 |
沈み込み帯における地震発生の研究において、海山に代表されるプレート境界の起伏が持つ役割が議論されてきた。しかし、従来の研究の多くは「1つの海山」に着目するのみであり、「複数の海山」が近接して沈み込む場合の影響は十分理解されていない。本研究では九州パラオ海嶺が沈み込む日向灘海域を対象とし、沈み込む複数の海山が作り出す3次元の変形構造と応力場を解明することを目的とする。地震波を用いた構造解析と個別要素法を用いた力学場の数値計算から、複数海山が沈み込む場の実態把握とその支配要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は複数の海山が沈み込む場合に生じるプレート境界周辺の変形構造と応力分布を解明することを目的としている。研究対象として、九州パラオ海嶺が沈み込む日向灘海域を扱う。地震波データ解析に基づくプレート内部構造と応力場の推定と、個別要素法を用いた数値計算による再現実験を実施し、両者の知見を統合的に解釈することで、海山沈み込み問題を検討する。 初年度は、まず地震波(屈折法探査)データの解析から、九州パラオ海嶺が沈み込む領域の周辺において、上盤プレート内に鉛直方向に発達する低速度帯を多数発見した。これらは深さ10-13kmのプレート境界から海底面まで連続的につながっており、沈み込む海山によって生じる破砕帯構造と解釈できる。こうした破砕帯は流体が地殻中を移動する際の流路の役割を担っていると考えられる。地震波反射法のデータからは、低速度帯の内部で堆積層が上に凸に変形している様子も確認された。これらの結果は日向灘海域の海底面に多数の泥火山が分布していることと整合的であり、上盤内の破砕帯を通ってプレート境界もしくは地殻深部から流体が上昇してきていると推定される。 一方、数値計算においては、従来から用いられてきた砂(粒子)を用いた手法を発展させ、粒子間の凝着力を実装した計算手法(岩箱数値実験)を新たに開発した。この手法を用いてプレート収束による付加体の変形実験を行い、分岐断層を含む複雑なプレート沈み込み構造の再現に成功した。 これらの成果について国内外の学会で成果発表を行うとともに、国際学術誌へ論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地震波を用いた解析では、海山に起因する構造不均質が明らかとなり、その地質学的な解釈が進展した。数値計算においては、新しい手法の開発に成功し、日向灘海域を対象とした再現実験の目途が立ちつつある。いずれの項目も当初予定していた通り研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は地震波解析と数値計算の二つの内容を並行して実施してきた。次年度は、前者で得られてきているプレート構造の知見を後者のシミュレーションに取り込むことで、より現実的な再現実験を試みる。
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