研究課題/領域番号 |
22K03798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
江崎 洋一 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60221115)
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研究分担者 |
足立 奈津子 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40608759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | カンブリア紀 / 生物多様性 / 古生代 / 放散事変 / カンブリア爆発 / オルドビス紀生物大放散 / 生物多様化 / 中国 |
研究開始時の研究の概要 |
「カンブリア爆発」と「オルドビス紀生物大放散」は生命史上最大の生物の多様化事変である.カンブリア紀後期の化石記録は少なく,2つの多様化は別の事変と考えられている.本研究では,当時の化石記録が良く保存されている北中国と南中国の海成層から産出する生物相を詳細に復元する.その上で,生物の構成要素や起源を調べ,カンブリア紀からオルドビス紀にかけての海洋生物の多様化事変の実態を解明する.
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研究実績の概要 |
カンブリア紀後期の芙蓉世は,見かけ上生物の多様性がきわめて低い時期と認識されている.その時期における生物多様性の実態の解明のために,中国山東省の唐王寨セクションに分布する炒米店層(カンブリア系上部)の石灰岩を対象に研究を行った.令和4年度は炒米店層下部層の岩石学的な特性を中心に研究を行った. 1)炒米店層の下半部は,SPICE事変が生じた排碧期に形成され,ストロマトライトに酷似した堆積岩からなる礁が特徴的に分布している.礁は石灰質扁平礫岩層の直上に形成される場合が少なくない.“ストロマトライト”では直径が数cm程度の円柱状コラムが顕著で,著しいドロマイト化作用がコラムの輪郭やコラム内のラミナ組織部を際立たせている.コラム内は,「バーミフォーム状の海綿状組織」,「ドロマイト化の卓越部」,「ペロイド状粒子の卓越部」が入り組むように形成されている.ミクライトの集積によって上に凸のラミナ組織が特徴的な場合もある.石灰質微生物類としては,わずかにGirvanellaが認められる. 2)バーミフォーム状の海綿状組織部で海綿骨針は認められない.海綿状組織部内に直径が300μm程の中空状の管状構造が散点的に認められる.「海綿状組織の三次元的な構成」や「管状構造の正体」は今後の課題である.バーミフォーム状の海綿状組織がコラムを跨ぐように分布する場合もあり,その形状は不定である. 3)生砕性石灰岩中では三葉虫片が豊富であるが,その他,貝形虫,小型巻貝,棘皮動物,頭足類の生砕物も認められる.ワッケストンでは生物擾乱作用が顕著である. 4)カンブリア系上部での生物相の多様性を明らかにするためには,“ストロマトライト”が形成された環境で特異的に繁栄した生物相だけでなく,SPICE事変以降に繁栄した生物相の情報を合わせて考える必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延のために,本研究課題を遂行するために不可欠な中国での野外調査を行えなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の後半に中国で野外調査を行い,地質調査ならびに研究試料の採集を行う予定である.それまでの期間に,比較検討の試料として,カンブリア紀後期と類似の現象が生じたことが予想される前期トリアス紀に形成された試料を用いて,生物相の検討ならびに生物多様性の解明を行う.
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