研究課題/領域番号 |
22K03805
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
上杉 薫 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20737027)
|
研究分担者 |
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 生物微細構造 / 摩擦 / 接着 / 力計測 / 生物表面微小構造 / 接着力 / 濡れ性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の核心をなす学術的「問い」は「生物が表面に持つ微細構造が接着,摩擦などの力学的影響を受けた際に,どのように変形しているか,またその変形が接着・摩擦などの力学的現象においてどのように機能しているか」である.研究代表者らは生物の表面に存在する微細構造の変形を顕微鏡等を用いて詳細に観察しながら,接着力,摩擦力測定を可能とするシステムの開発を目指す. 先ず,マイクロニュートンレベルの接着力,摩擦力測定システムを開発する.また,開発したプロトタイプと蛍光観察システムを組み合わせることで,蛍光観察を併用した表面特性評価を行う.更に,MEMS技術を用いて微小プローブを開発し,より微小な力測定を行う.
|
研究実績の概要 |
2軸微小力センサを用いて,生物微細表面の摩擦力測定用システムを構築し,試験条件を絞り込み,実際に生物表面の微小構造を模倣したナノメートルスケール溝基板を用いた摩擦力評価を行った.システム構築に際しては専用のプローブも開発した.プローブ開発に際しては,プローブ材料の選定や接触角測定を行い,材質的にニュートラルで親水性が比較的高いものとして,セラミック製のものとした. 大気中にて複数の寸法のナノメートルスケール溝基板の摩擦力評価を行った所,あるサイズの凹凸表面にてのみ摩擦力の低下が確認された.これは,凹凸表面に存在する極微小の水分が,cassie-baxter状態,もしくはWenzelの状態に移行し,表面とプローブ間の接着状態が不連続的に変化するためであると考えられる.実際,使用した表面の接触角試験によると,摩擦力が小さかった表面に関しては,接触角が大きいことが分かり,微小表面上での水分がcassie-baxter状態にある可能性が示唆されている.cassie-baxter状態とはすなわち,接触角が大きく撥水的な状況であり,微細溝内に水分が入り込まず,プローブ‐微小表面間に発生する水のメニスカスの影響が抑えられたことにより,摩擦力が低下したと考えられる. また,生物微小表面の撥水機能に関する3次元モデルを構築し,学会発表を行った.更に,生物微小表面に関係した,生物の発生力に関する論文執筆を進め,論文投稿した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2軸微小力センサを用いて,生物微細表面の摩擦力測定用システムを構築し,実際に摩擦力評価を行った.また,生物微小表面の撥水機能に関する3次元モデルを構築し,学会発表を行った.更に,生物微小表面に関係した,生物の発生力に関する論文執筆を進め,論文投稿を済ませており,おおむね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
開発した摩擦力試験システムはプローブの固定が甘くぐらついているため,最大静止摩擦力の評価しか行われていない.今後はプローブを改良することで,ぐらつきを改善する.もし,プローブの改善で済まない場合は,センサ本体のプローブ取り付け部分の改良を行う.センサの改造完了後,再び生物微小構造表面の摩擦力や接着力特性評価を行う.更に,顕微鏡観察システムへの組み込みを試みたい.
|