研究課題/領域番号 |
22K03827
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 芝浦工業大学 (2023) 京都大学 (2022) |
研究代表者 |
亀尾 佳貴 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (60611431)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 骨代謝 / 骨リモデリング / 皮質骨 / 海綿骨 / 計算バイオメカニクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、分子・細胞の相互作用と組織・器官の形態変化とを関連付ける骨代謝数理モデルを組み込んだ、皮質骨・海綿骨リモデリングの統合in silico(コンピュータ内)実験基盤の構築を目的とする。これにより、骨代謝系による皮質骨・海綿骨リモデリングの制御メカニズムを分子・細胞ダイナミクスから統合的に理解するとともに、力学的・生化学的要因によって生じる骨粗鬆症に対し、その病因・病態に応じた効果的な治療戦略の提案を試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究では、骨代謝数理モデルを組み込んだ骨リモデリングのin silico(コンピュータ内)実験基盤を構築し、力学環境に応じた皮質骨・海綿骨リモデリングの挙動をin silicoで再現、予測することにより、その制御メカニズムを分子・細胞ダイナミクスから統合的に理解することを目的としている。以下に、本年度中の主な研究実施内容と、得られた成果をまとめる。 1.骨代謝数理モデルによる皮質骨・海綿骨リモデリングシミュレーション 力学刺激に応じた骨細胞のシグナル分子産生から、破骨細胞・骨芽細胞による骨吸収・骨形成に至る骨代謝過程を数理モデルとして表現し、マウス大腿骨を対象として、皮質骨と海綿骨のリモデリングシミュレーションを行った。皮質骨と海綿骨がいずれも同じ骨リモデリング則に従うと仮定し、力学的負荷の低下(力学的要因)、ならびに、骨吸収を促進させるシグナル分子の発現上昇(生化学的要因)にともなう骨粗鬆症を想定した骨形態変化を解析することにより、骨粗鬆症を引き起こす要因の違いが、皮質骨・海綿骨それぞれの骨形態変化に及ぼす影響を明らかにした。 2.長管骨の形態形成シミュレーション 前年度に開発した、個々の細胞ダイナミクスから組織の力学状態の経時変化を解析可能な組織形態形成の連続体ベース粒子モデルに基づき、骨形態形成に関連する複雑な細胞間シグナル伝達を単純化した数理モデルを組み込むことにより、長管骨の形態形成シミュレーションを行った。その結果、成長板における細胞層構造を維持しながら、増殖軟骨細胞によるカラム形成を通じて長管骨が伸長する力学的メカニズムを明らかにした。また、形態形成の進行にともなう骨の石灰化により、骨表面の皮質骨と、骨内部の海綿骨とが形成される過程を再現することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、骨代謝数理モデルに基づいて、リモデリングによる皮質骨と海綿骨の形態変化を同時に解析可能なin silico実験基盤を構築し、加齢を想定した力学的・生化学的要因により生じる骨粗鬆症の病態を再現することができた。また、骨の形態形成の段階から、皮質骨と海綿骨という密度の異なる両組織が形成される過程を再現することができ、骨が外的環境の影響を受けながらその特徴的な内部構造と外形状を獲得するメカニズムを解明するための基礎を築くことができた。よって、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
骨粗鬆症の治療薬の効果を数理モデル化し、骨代謝数理モデルに組み込むことにより、力学的・生化学的要因により生じる骨粗鬆症に対してin silico投薬実験を実施し、病因・病態に応じた効果的な治療戦略の提案を試みる。特に、投薬頻度の影響に焦点を当て、それが皮質骨・海綿骨それぞれに対する治療効果に及ぼす影響を検討する。
|