研究課題/領域番号 |
22K03834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
金成 守康 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 教授 (70331981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 燃料デブリ / 微小粒 / 押込み試験 / 弾性率 / 硬さ / 炭化ホウ素 / 試料調製 / 加工硬化層 / ナノインデンテーション / ジルコニウム / 泡状構造 / 小規模取出し |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原子力発電所の格納容器から小規模に取出される小石状・砂状の燃料デブリの力学的性質に関する知見は、大規模な取出しにおいて硬い炭化ホウ素の共晶物を含むデブリ塊を破砕・切断する工具の開発や事故時に起きた炉内イベントの解析に有益である。本研究では、1ミリメートル以下の炭化ホウ素ややジルコニウム等の模擬燃料デブリ粒を用いたナノインデンテーション試験をコールド環境で実施し、微小粒の泡状構造や材料の複合化が測定に及ぼす影響を調べ、押込み挙動のメカニクスを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、微小粒の押込み挙動に及ぼす試料調製、下地材料、粒内部構造等のナノメカニクスな影響を明らかにすることであり、特に、社会的インパクトが大きい燃料デブリへの応用を目指す。令和5年度は、混合物の燃料デブリを模擬した複合化試料について試料調製方法が押込み試験に及ぼす影響を調べた。特に、表面研磨により炭化ホウ素(B4C)粒内部に形成される加工硬化層(WHL)を抑制するための試料形態を探索した。 複合化試料は、B4C粒とジルコニウム(Zr)粒を2種類の配置、すなわち、粒を全体に均一配置(L1)、及び、外周にB4C粒と外周径の50%領域内に粒を配置(L2)、で樹脂に埋込んで作製した。それらの試料の表面研磨で生ずる最大せん断応力の深さは、炭化ケイ素砥粒とB4C粒間にヘルツ接触を仮定した弾性理論解析から推定された。押込み試験は、両配置中の複数のB4C粒に対して荷重10、30、50 mNで行った。 L1配置したB4C粒のヤング率(E)値は、全ての荷重で文献値より16%~26%高かった。このE値上昇は、B4C粒内部に形成される押込み圧子の弾塑性変形領域がWHLと干渉して起きると弾性解析から結論付けられた。また、L1配置では、試料が傾いて研磨されるために理想的な全体接触ではなく一部粒の局所接触となった結果、接触圧力の上昇に伴い粒深部にWHLが形成されたと推定された。L2配置のB4C粒のE値は、10 mNで文献値より11.5%高かったが、30 mN以上では約1%以内の差で良く一致した。L2配置は、外周部のB4C粒が高い接触圧力を支持する一方で内側に配置されたB4C粒の接触圧力は低く抑制された結果、WHLが浅くなり押込み試験に及ぼす影響が限定的だったと推測された。燃料デブリの試料調製では、中心領域に置く燃料デブリ粒の外周に硬い接触圧力支持体を配置してWHLを抑制する方策を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究実施計画においては、放射性の燃料デブリ微小粒試料を作業空間が制限されるグローブボックス内で研磨することや、極めて狭隘な押込み試験機へ試料を堅固に設置することを容易にする固定治具の開発を第一の目標とした。加えて、燃料デブリを模擬したB4C粒とZr粒の複合化試料について試料調製方法が押込み試験に及ぼす影響を調べることを次の目標とした。 計画された2つの研究目標は、概ね達成できた。すなわち、年度当初には、樹脂に埋め込んだ微小粒試料の表面研磨や押込み試験を容易にする固定治具を開発し、研究の効率化に寄与した。研究の進展に伴い、微小粒の配置方法によって試料の研磨工程でB4C粒表面の深さ方向にWHLが形成されて押込み試験で測定される見掛けのヤング率が文献値に比べて最大26%高くなることが分かった。また、試料中心部に置いた燃料デブリ微小粒の外周に硬い接触圧力支持体を配置して研磨することによって押込み試験に影響しない程度にWHLを浅く抑制する方法を提案できた。 その一方で、研究成果公表は、学会発表を予定通り行うことができたが、論文作成の準備作業を開始したが投稿には至らずに課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、複合化試料の研磨によってB4C粒表面に形成されるWHLを抑制する方策を提案した。令和6年度に行う研究の第一目標は、複合化がZr粒の研磨や押込み試験に及ぼす影響を調べることである。既に作製した複合化試料のZr粒について表面性状や力学的性質を概ね測定済みであり、今後は、残りの測定を実施した上でそれらの結果を解析する。 研究の進展に伴う次の目標は、放射性の燃料デブリ粒を長期間安定して保持できる固定方法を探索することである。従来は、微小粒を樹脂に埋め込んで堅固に保持し研磨工程や押込み試験に供したが、放射線照射に弱い樹脂は燃料デブリ粒を長期間保持した場合にその経時劣化によって粒が脱落する恐れがある。それに加えて、ヤング率が金属より1桁低い樹脂は、高荷重の押込み試験で顕著に変形して測定誤差を生ずる懸念がある。本研究では、微小粒を1段目の金属から2段目の樹脂へと段階的に埋め込むことによって、金属で放射線を遮蔽すると共に樹脂の押込み変形を抑制する効果が期待できる。 複合化された模擬微小粒は、スズのような低融点の金属塊に埋め込む計画とする。金属原料は、予め微小粒を固定した金型に充填した後、電気炉内でその融点以上に加熱して粒を埋め込む。冷却後に取出した金属塊は、樹脂に埋め込まれる。金属塊の密度が微小粒の密度より高いと、金型内に置かれた粒は溶融金属内で浮動する懸念がある。また、溶融金属が微小粒に十分濡れないとその界面に空隙が残る。予測されるこれらの課題の対策として、金属の微粉を含む接着剤によって予め粒を金型に固定して溶融金属中での浮動防止と濡れ性改善を図る。 すでに令和5年度以前の研究成果が十分にあることから、学会発表や論文投稿などの成果発表を積極的に行う。
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