研究課題/領域番号 |
22K03837
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
金子 順一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80375584)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 垂直多関節型ロボット / 経路計画 / CAM / シミュレーション / ロボットマシニング / 除去加工 / CAM / 垂直多関節ロボット / 運動計画 / 工具経路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多自由度を有する垂直多関節型ロボットを用いて行われる機械加工(ロボットマシニング)において、ロボットの静的な剛性、および各軸の加減速性能を考慮し、効率的な工具経路・加工物配置計画法の開発を行う。具体的には、多関節型ロボットの構造を対象に、切削・研削加工を実施する際に重要となるロボットの静的剛性モデルおよび各軸の加減速モデルを実機の実験により生成する。そしてエンドミル工具を用いた切削により概略形状を創成する荒加工、および、エンドミル工具、研削工具を用いて表面形状を創成する仕上げ加工のそれぞれについて、ロボットの構造に合致した工具経路・加工対象物配置条件を計画するアルゴリズムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、令和4年度から6年度までの3年間で実施する予定としており、具体的な研究の内容は、Ⅰ.機械加工用垂直多関節型ロボットの姿勢ごとの手先位置 における静的なコンプライアンス、振動モードと、各関節軸の加減速特性についてのデータベース作成、Ⅱ. 多関節型ロボットに対応した荒加工工具経路の生成 と、加工途中の被加工物形状に対する効率的な加工経路の導出、Ⅲ. 多関節型ロボットに対応し表面仕上げ研削/切削経路の生成と、加工対象物の最適配置の導 出、の3つ段階からなる。
このうち、2023年度には特にⅡ.の研究課題について「機械加工用垂直多関節型ロボットの各関節軸の加減速特性を考慮した工具姿勢計画」のアルゴリズム開発を行った。こちらは2022年度に実施した荒加工時のサポート除去を行ったあとのサポート痕の研削による除去を目的として、ロボット用CAMによって生成された研削加工用プログラムを最適化するものとなっている。工具の加工位置および工具姿勢のうち、前者の加工位置を維持したまま、各関節の動作時の加加速度を最小化する工具姿勢を探索的に導出する。これにより、高送り加工時における関節角の急激な増減によるエラーや送り速度の急減を防止しつつ、工具先端の位置決め精度を維持することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の実績においては、Ⅱ.の研究課題について「多関節型ロボットに対応した荒加工工具経路の生成と、加工途中の被加工物形状に対する効率的な加工経路の導出」を実施した。2022年度の成果である「位置・姿勢指令に対する工具の実送り速度、および運動時の手先位置の幾何的偏差を計算機モデルを用いて事前推定するシミュレーションシステム」を利用して、工具先端の加工位置を維持しつつ工具姿勢を変化した場合の送り速度の変化を事前予測し、工具姿勢を変更することで各関節角への指令値の連続性と送り速度の維持を両立する計画手法の開発に成功している。 これらの結果はいずれも、2024年度に予定する表面仕上工程を対象とした経路計画および最適化の計画手法として必要となるものであり、予定通りのスケジュールで調査およびシステムの開発を実施していることから、現在までの進捗は概ね順調にであると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、2024年度には、Ⅲ. 多関節型ロボットに対応した仕上げ加工経路の生成において、樹脂やアルミ材といった比較的軟質な材料を対象としたエンドミル加工において、ロボットマシニングを効率的に実施するための経路生成技術を開発することを予定している。具体的には、6軸のうち3軸程度を固定して、3軸を個別、もしくは同期して動作させた場合に工具が通過する領域を工具掃引領域としてロボット座標系上に定義し、これを被加工物の座標系に投影して仕上げ加工経路を決定する新しいCAMアルゴリズムを検討する。従来の工作機械向けの経路生成では、各軸の軸構成が直交座標系をもしていることを前提としたXYZ軸のいずれか1軸もしくは2軸を限定して駆動させる加工法が一般的であったが、こちらは多関節ロボットの構造に特化した新しい経路生成手段として位置づけられる。
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