研究課題/領域番号 |
22K03838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 文信 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10739311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 金属・樹脂直接接合 / 接合メカニズム / 界面特性評価 / 界面ナノ計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,金属と樹脂の直接接合技術である成形接合において,接合に寄与する界面特性の定量的な計測・評価方法の確立を目的とする.界面における材料の機械特性や物理・化学的特性をナノスケールで評価するため,既存手法・新規開発手法を複合的に用いる.新規手法としては界面の微細構造の形状を非破壊で測定するために高周波電流の表皮効果を利用する計測手法を検討する.また,原子間力顕微鏡の特殊な測定モード(ナノメカニカルスペクトル解析,AFM-IRなど)を利用することで界面のナノ特性の計測を検討する.そして,得られた計測データを複合的に解析することで,接合に寄与する特性の抽出を試みる.
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研究実績の概要 |
表面に微細テクスチャが修飾された金属材を金型内に設置した状態で樹脂を射出成形することで金属材と成形樹脂が直接接合される.本研究では,接合に寄与する界面特性の評価手法の確立を目的としている.射出成形条件によって変化する界面の樹脂特性の局所的評価や,界面の微細形状の定量表現手法の開発を検討している. 前年度(2022年度)では,調査対象となる樹脂材料の選定を行い,以前より検討を続けていたPBT樹脂に加えて汎用樹脂であるPPを採用し,適切な射出成形条件の探索を行った.本年度(2023年度)は,PPとレーザー加工によってマイクロディンプルアレイが形成された金属材との接合において,樹脂が界面でマイクロディンプルにどのように侵入しているかを評価した.金属片を酸もしくはアルカリを用いて溶解することで接合界面における樹脂を露出させ(金属溶解法),その面をレーザー顕微鏡で3次元計測を行った.そして得られた3次元形状から,高さ値の出現頻度分布(ヒストグラム)を元に,機械的で高速に樹脂侵入量(マイクロディンプルに侵入した樹脂のマイクロ突起の高さ)を計算する手法を提案した.この定量評価手法で計算された樹脂侵入量と接合強度との間に大まかに相関があることを示したが,条件によっては相関が現れない場合があることも明らかにした.この結果は,樹脂のマイクロディンプル(微細テクスチャ,微細構造)への侵入量だけではなく,ほかの要素も接合に大きく寄与していることを示唆している. 加えて,流動性向上剤を添加したPA6樹脂と熱水処理を施したアルミニウム合金の接合において,界面評価のためにAFM-IRを用いたナノスケールでの化学状態評価を行った.界面近傍(特に界面から数十nm程度)でPA6中のNH基とアルミニウムの間に結合力が働くことを示唆する結果が得られ,アンカー効果以外の要素をナノスケールで確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用樹脂であるPPとの接合において,マイクロ構造の評価に取り組み,当初は想定していなかった手法を確立することができた.また,流動性向上剤を添加したPA6との接合においては,AFM-IRを用いたナノスケール評価を実施できた.以上から,おおむね順調に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに提案してきた評価手法が,多様な種類の材料(特に樹脂材料)にも適用可能であるかを検討していく.これまでに用いていたPBTやPP,PA6に加えて,ABS,PCなどさまざまなエンプラで評価を実施していく.また,ナノスケールでの機械特性計測に関しては,計測対象の樹脂表面の粗さを可能な限り小さくすることが重要であることが初年度より確認していたため,そのようなスムーズな面の創出方法の検討を行い,ナノ機械特性計測も進めていく予定である.
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