研究課題/領域番号 |
22K03842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
牧野 武彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70273315)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | セル構造体 / 分子動力学計算 / 自由曲面 / 設計 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
中空構造体の一つであるセル構造体は,節点を梁(ビーム)や面で結んで成り立っている.この節点の設定方法が,セル構造体のバリエーションと性質を決める. 本研究は,節点位置を分子動力学(MD)計算によって決定し,節点をビームで結んで造形した,MDセル構造体に高い圧縮強度,吸収エネルギーを持つように設計する手法,さらに,MDセル構造体を自由曲面に沿った形状にするための手法を構築することを目的とする.
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研究実績の概要 |
3Dプリンタ以外では造形不可能なセル構造体を始めから設計するには,節点をどのように決めるかが問題となる.空間充填する格子点を節点とする方法では,セル構造体のバリエーションに限りがある.MDセル構造体は,MD計算で求めた原子位置を節点位置とみなして,それらを梁(ビーム)で結んだセル構造体である.これまで外形が立方体である原子配置を初期構造として,MD計算に用いる原子間ポテンシャルを複数設定し,その適用位置を適宜変え,MD計算中で引張や圧縮変形を行った後の原子配置を節点位置としてMDセル構造体のバリエーションを生成してきた.本研究では,大きな構造体の構成要素としての形状を重視し,平行六面体が最終的な形状である300種類以上のMDセル構造体を,膨張・収縮を表現するポテンシャルと,MD計算中の圧縮変形だけを用いて作成し,3Dプリンタで造形後,実際の圧縮試験を行った.この圧縮強度の結果を目的変数,MDセル構造体のビームの長さ・角度の分布などを説明変数として機械学習したモデルによって多くのバリエーションのMDセル構造体の中から高い強度をもつと予想したものを選び出し,実際に造形して圧縮強度を調べたところ,300の結果の中でも最高レベルの強度が実際に得られることを示した.さらに,外形が任意の曲面となる,自由形状を持つMDセル構造体の設計手法の構築を目指した.曲面を表現する三角要素の頂点などから成る点群のうち,固定する点と三角形の面内でのみ位置を変える点にポテンシャルを適用し,曲面を保持したままポテンシャルに従って安定な構造が得られることを確認し,さらに,この曲面の層2つで,すべての点が自由に動く層を挟んで,曲面層を近づけていくことによって,任意の曲面をもつ多層のMDセル構造を作成することに成功した.曲面層の適切な間隔はポテンシャルエネルギー最低の条件で決めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
任意の曲面を外形状とするMDセル構造体の作成法はほぼ確立した.今後は,その構造体の強度をどのように評価するかを考える必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
平行六面体形状のMDセル構造体の圧縮強度を用いて構築した機械学習モデルを用いて,曲面に沿ったMDセル構造体の強度を予測する方法を確立する.このためには曲面の構造体の強度試験法を開発し,多くの試験を行う必要がある.現段階では,単一のポテンシャルを用いて,ほぼ均一な節点密度を持つ,曲面に沿ったセル構造体を作成できたので,今後は,複数のポテンシャルを用いた,局所的に異なる,または傾斜的な密度を持つ,曲面に沿ったセル構造体を設計する方法を構築する.
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