研究課題/領域番号 |
22K03848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
藤本 正和 近畿大学, 工学部, 講師 (00581290)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 研削盤 / 幾何精度 / 超音波援用研削 / デスクトップ型研削盤 / セラミックス / 加工機構 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国における少子高齢化を踏まえた上での経済成長をうながす一環として、研究代表者は人工関節摺動面の耐摩耗性向上を実現できる加工法を提案する。具体的には、“耐摩耗性向上に寄与する周期的構造を有する機能性表面”を、生体適合性セラミックス加工面上に超音波援用研削により創成することを試みる。同加工法の実現に向けて、直動3軸+回転2軸を有し、複雑な形状でも高精度な加工を施せる精密研削盤を設計・製作する。この研削盤を用いて、機能性表面の創成を試みるとともに、創製した表面について摩擦摩耗試験機を用いて耐摩耗性を評価し、その創成機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は,耐摩耗性に優れた人工関節摺動面を創成するための超音波援用研削装置の開発と,それを用いた加工機構の解明を目的とするものである.研究年度内で①卓上型5軸NC精密研削盤の製作,②単粒工具を用いた超音波援用研削機構の実験的検討,③砥石構造の最適化,④創成された表面の機能性評価を実施することを計画し,2022年度は①および②の推進を試みた. 新たな加工機として,リニアモータによる直動3軸と,ACサーボモータによる回転2軸を備えた卓上型5軸NC研削盤の製作を実施した.はじめに,試作した研削盤の幾何精度測定を実施した.真直度誤差試験の結果,各軸のそれは要求される人工関節の加工精度を満たすものであった.一方,位置決め誤差試験においては,X軸の幾何精度は要求精度を達することができなかった.したがって,X軸を支える案内面の仕上げ加工精度と設計を見直し,追加工ならびに再製作を行った.その結果,すべての軸において,要求される加工精度に対して十分な幾何精度を満たすことができた.次に,これらの運動精度が,加工に及ぼす影響について検討するため,ジルコニアセラミックスを工作物に用いた超音波を援用しない慣用型研削(平面研削)を実施した.設定の総切込み量0.1mmに対して,加工後の実切込み量を測定すると0.1mmを達成しており,要求された精度を有する卓上型5軸研削盤の試作に成功した.以上の成果は,雑誌論文1件にて報告している.また,加工後の工作物の表面を三次元形状測定機を用いて測定した結果,脆性破壊がみられた領域は3%程度であり,従来の研究と同程度であることが確認された.以上の結果から,加工機構の一部を明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では,2022年度内に試作した研削盤にPLCコントロールボードを導入し,同時5軸制御を可能としたNC研削盤とするまでを予定していた.しかし,これを導入するためには,試作した加工機が要求精度を有していることが必要であり,その評価と改善に時間を費やすこととなった.一方で,十分な精度を確保した後の研削盤において,各軸の制御による加工実験は可能となったため,2023年度まで要することを予定していた加工実験を前倒しで実施することができた.以上を総合的に考慮し,達成度はやや遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はPLCコントロールボードなどを導入し,「卓上型5軸NC研削盤」を完成させることを目標とする.また,それを用いた加工機構をより詳細に追及するために,単粒工具を製作し,超音波援用研削実験を実施する.その実験結果に基づいて,ジルコニアセラミックスに対して超音波援用研削する際の砥石構造について検討し,新たな砥石の設計・製作を行う.加工後の砥石ならびに工作物に対して,既設の二次元高精細レーザ変位計,走査型電子顕微鏡に加えて,2022年度途中に導入された非接触三次元形状測定機を用いて,砥石作業面性状や工作物被削面の評価を行う.
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