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金属AMにおける余剰固化部生成メカニズムの解明と平滑化プロセスの研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K03859
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分18020:加工学および生産工学関連
研究機関金沢大学

研究代表者

阿部 諭  金沢大学, 設計製造技術研究所, 研究協力員 (30882584)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワードアディティブマニュファクチャリング / レーザ / 金属粉末 / ポーラス構造 / ラティス構造 / スキャナ
研究開始時の研究の概要

金属を材料としたアディティブマニュファクチャリングの大きな課題のひとつである「側面の粗さ」に着目し,その要因である端部に発生する「余剰固化部」の形成メカニズムを実験的・解析的に明らかにする.さらにPBF ( Powder Bed Fusion ) 法において側面の余剰固化部を再溶融させて滑らかにする新たなプロセスを提案し,そこで発生する現象・メカニズムを,レーザの照射条件とパワー分布,粉末の性状,ワークの形状と関連付けて明らかにするとともに,平滑化された部位の熱影響(組織,硬度,残留応力など)を調査し,本プロセスの有効性を確認する.

研究実績の概要

金属パウダベッドフュージョン(MPBF)の特長の一つには,内部に微細なポーラス状通気経路や微細水管が形成でき,高い温度調節特性など付加価値を持った部品を実現することができることが挙げられるが,加工プロセス上,不要な余剰固化部が形成されるため表面が粗く,微細管の大きさに制約があるのが現状である.より微細な管を実現するためには,余剰固化部の生成メカニズムを理解し制御することが重要である.
本研究では,余剰固化部生成メカニズムを,細い縦穴を対象として,スキャナの動作特性およびレーザ入熱量制御が造形物側面の固化量に及ぼす影響を評価した.その結果,スキャナの制御点での加減速による速度変化やレーザON/OFF制御周期に応じて生じる待ち時間を考慮した実入熱量を予測して制御することにより,余剰固化量を制御することが可能であることが明らかになった.
<わかったこと>
①スキャナ制御点が増えると制御点前後の原則により入熱量が大きくなり,想定以上の太い固化体が形成される.②PIN型フォトダイオードを使用して実際のレーザ照射状態を測定すると,制御点間距離が短い小さい穴形状の場合,スキャナの加減速領域のほうが支配的となり単位長さ当たりの入熱量が増大するため,固化量が増大し穴がふさがってしまう.③制御点間距離が短くなるにつれて入熱量が増加するが,その増え方はステップ的である.フォトダイオードで測定した結果から,ステップ的にレーザ照射開始と停止が繰り返されており,これはレーザ・スキャナの制御周期に依存していると考えられる.
<できたこと>制御点間距離によって決定される距離(パス長さ)ごとの実入熱量の予測値を求め一定入熱量になるように,パスごとのレーザパワーを調整することにより,従来プロセスでは閉塞してしまっていた小径穴(□0.25~□0.5mm)も閉塞せずに造形することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では見極めきれなかったこと
2023年度の研究において,余剰固化部の生成プロセスでは,レーザおよびスキャナの制御精度や制御分解能などが大きく影響していることがわかった.
例えば,スキャン開始/停止時に発生する加減速領域に伴う入熱量の変化,スキャン制御周期によるON/OFF時間の存在による入熱量の変化,制御点の数・距離による加減速の影響などである.上記の課題を解決するためのハード・ソフト開発が今後重要となるが,本研究ではこの領域には立ち入らず,後続の研究課題とする.

今後の研究の推進方策

2023年度は微細縦穴に限定して評価を行った.しかしMPBFで製作する形状は三次元的であるため穴経路も三次元的になる.つまり,角度を持った斜め穴や横穴も存在する.斜め穴や横穴の場合は縦穴とは異なり,管の上部領域にオーバーハング部が出現する.オーバーハング部は固化済みの造形物の外側にはみ出た位置にもレーザを照射する状態となるため,レーザの一部が直接粉末に照射され,その部分にはドロップレット(ボーリング)が形成され,造形様相が異なる領域となることが予想される.
このような理由により,2024年度は,斜め穴・横穴のオーバーハング部の造形様相,余剰固化部の生成メカニズムの解明に取り組む.具体的には,①管の形成角度と形成されるオーバーハング部における造形様相の関係・特徴の見極め(ドロップレットのでき方を高速度カメラで観察するなど)②レーザ照射条件,特にレーザビームパワー分布と造形様相の関係・特徴の見極め(レーザパワー・走査速度と入熱量,ガウス分布に相当するレーザパワー分布とドロップレット(ボーリング)のサイズなどの特徴量の評価)③粉末材料特徴(平均粒子径,真球度,流動性など)もドロップレット(ボーリング)形成プロセスに影響すると考えられるため,真球度が高く流動性が高いという特徴があるガスアトマイズ粉と真球度が低く流動性が低い水アトマイズ粉での造形様相の関係・特徴の見極めを実施したうえで,④ ①および②,③の結果から余剰固化部削減プロセス案の提案と検証することを目標に実施する.
また,微細管内の表面状態を観察する手段として,X線CTによる内面観察およびCADモデル化による評価を合わせて実施し,オーバーハング部の余剰固化部形成メカニズム解明に役立てる.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] PBF-LB/Mでの微小管造形に向けた造形戦略の構築2024

    • 著者名/発表者名
      櫻井 和哉,川﨑 海,阿部 諭,古本 達明
    • 学会等名
      日本機械学会北信越支部2024年合同講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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