研究課題/領域番号 |
22K03862
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西田 勇 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40776556)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | CAM / 切削加工 / STL形式 / 工作機械 / 自動化 |
研究開始時の研究の概要 |
切削による部品加工では,数値制御(NC)工作機械による自動運転が実現されているものの,NC工作機械を稼働させるためには加工対象物ごとにNCプログラムを作成する必要があるため,この工程が多品種少量生産,さらには一品生産を行う金属加工業の生産性向上を大きく阻害している.本研究課題では,持続可能な産業化を実現するために,切削による部品加工で未だ完全な自動化が実現できていないNCプログラムを作成する工程を完全に自動化することを志向したCAMシステムを構築する.
|
研究実績の概要 |
製造業において,熟練者の高齢化による退職と若者の製造業離れによる従事者の減少は喫緊の課題であり,従来のような人に依存したやり方ではなく,デジタル技術を駆使した新しいものづくりの方法を構築する必要がある.切削による部品加工では,NC工作機械による自動運転が実現されているものの,NC工作機械を稼働させるためには加工対象物ごとにNCプログラムを作成する必要がある. 現在,NCプログラムは,切削加工に熟知した技術者が対象物の形状から加工する領域を決定して,それぞれの加工領域に対する加工方法や加工条件を被削材の材質を考慮して決定した上で,作成している.切削は除去加工であるため,加工対象物の形状から除去領域を判断することは難しいため,現状熟練者が加工方法や加工条件を脳内で検討しながら除去領域を決定する必要がある. 従来の研究では,CADデータから加工領域を抽出するためには,そのCADデータの作成時の履歴情報が必要となるため,CADデータ作成に使用したCADエンジンが必要であるという制約があったため,データの互換性やデータの移行に制約が生じ,完全な自動化には障壁があった.そこで前年度は,CADモデルのデータの互換性の課題を克服し,CAD/CAM間でのデータ連携を行うため,3次元CADモデルの表面を三角形パッチの集合で表現しているSTL(Standard Triangulated Language)形式のCADモデルのみから加工領域の抽出するアルゴリズムを提案した.今年度は,抽出した加工領域に対して使用する工具や工具回転数や送り速度などといった加工条件を,被削材の材質および加工領域の幾何学的特徴から自動で決定する方法を新たに提案した.また,加工領域の幾何学的特徴と決定した工具および加工条件から工具経路を生成してNCプログラムを自動で生成する方法を提案した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,三角形パッチの集合で表現しているSTL形式の3次元CADモデルのみをインプットとして,NCプログラムを完全に自動生成するCAMシステムの構築を目指している.本研究課題では,1年目に三角形パッチの集合から加工フィーチャを認識する形状解析の確立,2年目に加工領域の幾何学的特性に応じた工具の選定および加工条件の決定,3年目に工具経路の算出およびNCプログラムの自動生成を計画しており,1年目および2年目で予定していた項目をおおむね予定通りに実現できている.さらに3年目で予定していた工具経路の自動生成に関しても,2年目の段階で一部実装を行っている状況である.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については,以下のようなことを検討している. 形状解析においては,三角メッシュの集合で表現されるSTL形式のファイル形式から加工領域を自動で抽出することに成功している.本研究課題を進めていく中で,STL形式では幾何公差の情報を扱うことができないという課題が見えてきた.そこで,STL形式だけでなく,幾何公差を保持することのできるCADモデルの中間形式であるSTEP形式のAP242規格について,調査を行い,3次元解析に適用できる方法を検討する. また,現状では製品形状のCADモデルを入力情報とした切削加工の段取りの自動化を行っているが,一品生産の代表例である金型モデルの加工についても工具経路の自動生成を適応できるようにする. NCプログラムの自動生成においては,エアカットとよばれる切削していない無駄となる工具経路を判別し,加工時間ができる限り短くなるような工具経路を生成する高度なアルゴリズムを開発する. 最後に実加工によって本研究課題で提案したアルゴリズムにより生成されるNCプログラムが有効であることを検証する.
|