研究課題/領域番号 |
22K03879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18030:設計工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
岡田 裕 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 教授 (50281738)
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研究分担者 |
乙黒 雄斗 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 助教 (10801160)
遊佐 泰紀 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (70756395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アイソジオメトリックアナリシス(IGA) / 重合パッチ法 / 特異パッチ法 / 応力拡大係数 / J積分 / 相互積分法 / 破壊力学解析 / CAE解析 / アイソジオメトリックアナリシス |
研究開始時の研究の概要 |
アイソジオメトリック解析(IGA)は,(i)有限要素法(FEM)解析精度劣化に繋がる形状離散化誤差を回避でき,(ii)FEMメッシュ分割が不要な高精度・高効率構造CAE解析を可能にする新手法である.一方,入力データとなるソリッドモデルが亀裂を有することはなく,IGA破壊力学解析は一般に困難である.本研究では、 (ア)亀裂と構造のIGA解析モデルを別々に生成できる重合パッチIGA解析,(イ)亀裂の応力特異性を再現可能な特異パッチIGA解析の提案と実証である.非線形破壊力学問題への発展研究も推進し,FEMを凌駕する高精度・高効率破壊力学解析まで可能にするIGA CAEスキームを提案することである.
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研究実績の概要 |
アイソジオメトリックアナリシス(IGA)はCADソリッドモデルを形状入力データに,その中で使用されるNURBS関数を解析の形状関数に利用するため,解析精度劣化に繋がる形状離散化誤差を完全に回避でき,高精度・高効率構造CAE解析を可能にする新手法である.一方,入力データとなるソリッドモデルが亀裂を有することはなく,破壊力学解析は一般に困難である.本研究では, (i)亀裂と構造のIGA解析モデルを別々に生成し,それらを重ね合わせて解析を行う重合パッチIGA解析,(ii)亀裂応力特異性を再現可能な特異パッチIGA解析により,根本的な問題を解決し,さらに,非線形破壊力学問題への発展研究を推進することが本研究の目的である. 2023年度は,三次元重合パッチIGA解析による三次元線形破壊力学解析の精度検証,三次元重合パッチIGA解析の有限変形弾塑性問題への拡張検討とプログラム実装,実証問題解析のためのIGA解析モデル構築と試解析を行ってきた. 三次元重合パッチIGA解析による三次元線形破壊力学解析の精度検証に対しては,埋込亀裂問題に対し,混合モード応力拡大係数について三次元重合パッチIGA解析と理論解の比較を行い,良好な一致を見た.三次元重合パッチIGA解析の有限変形弾塑性問題への拡張検討については,実装法の検討と二次元プログラムでの実装に留まっている.実証問題解析のためのIGA解析モデル構築では,CADで生成した三次元ソリッドモデルに重合パッチIGAを用いて亀裂を配置し,弾性解析を実施することに成功した. 前年度から持ち越された,ローカルパッチ境界に課す境界条件の検討を継続した.現状の変位だけを連続とする設定で十分であるという結論を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三次元重合パッチIGA解析による三次元線形破壊力学解析の精度検証は順調に進めることができた.なお,三次元問題の前に二次元問題に対する精度保証条件を確立し,三次元問題にも適用可能と考えている.三次元重合パッチIGA解析の有限変形弾塑性問題への拡張検討とプログラム実装については,更新ラグランジュ法と乗算分解に基づく有限変形弾塑性構成方程式と,ラディアルリターンアルゴリズムを用いた応力積分の実装を行った.また,非線形問題解析で必要なニュートン法の実装にも成功している.しかし,重合パッチIGA解析特有の形状更新法の実装に難があり,IGAによる有限変形弾塑性解析には成功しているが,重合パッチIGAでは有限変形弾塑性解析の実施に至らなかった.実証問題解析のためのIGA解析モデル構築はほぼ成功したと言える.エルボ管の貫亀裂解析に成功している. さらに,上記研究成果を1報の審査付論文として現在投稿中である.また,3件の講演発表をすることができた. 以上から,三次元重合パッチIGA解析の有限変形弾塑性問題への拡張がやや遅れているが,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施をしたが,完全な実装ができなかった有限変形弾塑性解析機能を引続き重合パッチIGAに適用するための研究を継続する.塑性ひずみ,相当塑性ひずみ等の変形履歴に関連した物理量の保存の保存法や重合パッチIGAのための物体形状更新法に関する検討と実装を進める.2024年度上期に手法(実装法)検討を終了し,遅くとも11月までには実装と検証解析例を終了する.さらに,産業応用実証問題解析例として,エルボ管内側表面亀裂問題解析を実施する.さらに,もう一例の例題解析を試みたい.その際,三次元重合パッチIGA解析による三次元線形破壊力学解析の精度検証について再検討をし,必要な場合は解析精度検証問題解析を改めて実施していく. 以上に加え,3年間の研究開発の総括を行い,成果を国際学術誌に投稿していく.少なくとも論文執筆に着手する.
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