研究課題/領域番号 |
22K03882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平田 敦 東京工業大学, 工学院, 教授 (50242277)
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研究分担者 |
桃園 聡 東京工業大学, 工学院, 助教 (70262300)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トライボロジー / ナノ粒子 / イオン液体 / ゲル |
研究開始時の研究の概要 |
耐環境性に優れ,ナノからマクロ領域までの潤滑制御に適するグリーントライボロジーシステム構築の可能性を探るため,無機ナノ粒子を添加したハロゲンフリーイオン液体ゲルを生成し,新規潤滑剤としてその基礎的なトライボロジー特性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
ハロゲンフリーイオン液体を半固体化させる添加剤として,増粘効果とチキソトロピー性を与えると考えられているシリカナノ粒子に着目し,生成したイオン液体ゲルの潤滑剤への適用性を実験的に評価した. シリカナノ粒子をハロゲンフリーイオン液体であるEMIMDCNに添加し,攪拌及び脱泡処理によりイオン液体ゲルを生成した.生成したイオン液体ゲルのせん断に対する粘度特性を評価した結果,イオン液体ゲルはシリカナノ粒子の添加量により粘度が増加し,せん断速度の上昇に伴い一様に粘度が減少する構造粘性を示し,せん断の停止により粘度が回復するチキソトロピー性を示した.また,80℃以上の高温でイオン液体ゲルはさらに粘度が上昇したほか,長時間高温にさらされることで25℃及び40℃の温度で低せん断速度における粘度が低下する現象も確認された. 次にボールオンディスク式摩擦試験機を用いて,ステンレス鋼をしゅう動部材料とした摩擦試験を実施し,試験後の摩耗量測定を含めてトライボロジー特性を評価した.真空かつ150℃の温度条件で試験を行った結果,イオン液体ゲルは低面圧条件でしゅう動速度に対し一様に摩擦係数が増加した.EMIMDCNと比較して低しゅう動速度では低摩擦を示し,高しゅう動速度では摩耗が増加したがしゅう動距離に対して安定した摩擦挙動を示し,潤滑寿命向上が推察された.一方で,面圧上昇に伴いイオン液体ゲルはしゅう動速度に左右されない摩擦を示した.高しゅう動速度ではシリカナノ粒子添加量増加に伴い摩擦挙動が安定化し,摩耗も小さくなることが確認された.ただし,高面圧条件ではシリカナノ粒子6wt%添加イオン液体ゲルは優れた潤滑寿命を示したが8wt%添加イオン液体ゲルはEMIMDCNより潤滑寿命が低下したため,面圧に対する適切なシリカナノ粒子添加が潤滑寿命向上のため必要なことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な4つの研究課題のうち,今年度は無機ナノ粒子としてシリカを選択して「無機ナノ粒子を添加したイオン液体ゲル精製法の確立」,「無機ナノ粒子添加ハロゲンフリーイオン液体の基礎物性評価」および「無機ナノ粒子添加ハロゲンフリーイオン液体のトライボロジー特性の評価」について研究を進めており,潤滑剤としての特性を明らかにしている.
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今後の研究の推進方策 |
無機ナノ粒子としてカーボンオニオン,シリカに加えて繊維状カーボン粒子を選択して「無機ナノ粒子を添加したイオン液体ゲル精製法の確立」,「無機ナノ粒子添加ハロゲンフリーイオン液体の基礎物性評価」および「無機ナノ粒子添加ハロゲンフリーイオン液体のトライボロジー特性の評価」について研究を進めていく予定である.電気接点での特性についても着目する.
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