研究課題/領域番号 |
22K03895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 一般財団法人日本自動車研究所 |
研究代表者 |
萩野 浩之 一般財団法人日本自動車研究所, 環境研究部, 主席研究員(教授相当) (90533737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | エアロゾル質量分析法 / 核生成 / アブレシブ摩耗 / メカノケミカル反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,摩擦材やディスクに由来する化学組成を,空気中に浮遊したエアロゾル粒子の状態で定量化することで,トライボロジー現象における発生メカニズムを解明する研究を提案する.申請者によるこれまでの研究を応用し,[1] エアロゾル粒子の化学組成を空気中に浮遊した状態で測定する技術を構築する.そして,摩擦材料の配合の違いによって現れる[2]摩擦界面間の研削材によるアブレシブ摩耗メカニズム,摩擦界面で起こる複雑なトライボロジー現象によって現れる,[3] 材料表面の部分的な溶解による核生成メカニズムをそれぞれ解明する.
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研究実績の概要 |
近年,自動車のCO2等の排出ガス規制の強化だけでなく,電気自動車でも排出される,ブレーキ摩耗粉塵に対する排出規制への関心も高まってきている(主に質量を基準とし化学組成は対象外).これまでは,ブレーキが「どの程度,摩擦・摩耗するか」が研究されてきた.今後は,「どの程度エアロゾル粒子が発生するか」を研究する必要がある.そこで本研究では,摩擦材やディスクに由来する化学組成を,空気中に浮遊したエアロゾル粒子の状態で定量化することで,トライボロジー現象における発生メカニズムを解明する研究を提案する. 今年度は,自動車用ディスクブレーキを対象に,アブレシブ摩耗により排出される鋳鉄ディスク由来のエアロゾル粒子を識別して定量し,ブレーキ油圧やディスク温度の関係から,アブレシブ摩耗メカニズムを解明した.摩擦材であるブレーキパッドは,大別してLS(Low Steel)材とNAO(Non-Asbestos Organics)材に分けられる.LS材は,硬質材であるスチールウールを含んでいる.これまでに申請者は,LS材とNAO材の違いにより,ブレーキ粉塵の質量ならびにエアロゾル粒子個数の違いについて論じてきた.本研究では,鋳鉄ディスク由来のFeと,ブレーキパッドに含まれるスチールウール由来のFeの寄与を,それぞれ検出し,物資収支によりディスク由来のブレーキ粒子の寄与率を求めた.LS材やNAO 材を含むFeの含有量が異なるブレーキパッドに対し,排出されたブレーキ粉塵の化学組成を測定した結果, LS材はディスク由来のFe濃度が高かったことから,ディスク由来のブレーキ粒子の寄与率からアブレシブ摩耗メカニズムを定量化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブレーキダイナモを用いて,ブレーキ摩耗由来のガスとエアロゾル粒子を同時に測定できるシステムを構築し,排出量を定量的に解析できる方法がほぼ完了した.また,ブレーキ摩擦材に伴い排出量が変化するといった,新たな知見が見出された。総合的に鑑みて研究は順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,ガス状のフェノールをフェノール樹脂の分解生成物の指標とし,熱分解分解速度論(アレニウス式)で解釈できるかを検証する.ガス状物質が飽和蒸気圧から凝縮することで核生成を起こしているか,ICP-TOFMSによりエアロゾル粒子組成(特に炭素粒子)が,クラウジウス・クラペイロンの理論に基づいて,核生成速度を定量的に解析する.ガス状物質は,PTR-TOFMSによる技術で定量する.核形成過程をガス・粒子計測に基づいた研究例はほとんどなく,最新技術が成せる知見として世界へ展開するものである.
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