研究課題/領域番号 |
22K03897
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 英一 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (60710811)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 乱流 / カオス力学系 / 数値解 / 秩序渦 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は正則化による系の単純化を行い,数値解の探索を行う.回転乱流を例に,数値解の探索を正則化つきの最適化問題に定式化し,乱流に潜む本質的な運動を数値解によって明らかにする.数値解を用いて抵抗低減や伝熱促進に寄与する渦を同定し,制御の指針を得る.この手法により発達乱流に代表される大自由度力学系について数値解による相空間の構造の解明が可能となる.さらに,本計算手法により正則化による単純化を提案することができ,新たな工学モデルの開発が期待できる.
|
研究実績の概要 |
Reynolds数が増加するほど,初期値鋭敏性が増加し,系の自由度も増加する.発達乱流に潜む数値解の検出の困難さは,乱流が本質的に持つ複雑さによるだろう.Couette乱流の軌道不安定性を調べたところ,不安定性の増幅率(Lyapunov指数)は概ねKolmogorovスケーリングに従うこと,不安定な構造(Lyapunovベクトル)は小スケールの剪断構造に起因することが分かった.本結果は日本物理学会(春季大会)で発表した.さらに,国際学会ICTAM2024(韓国)で口頭発表予定である.本件は論文執筆中である. 数値解の探索ではNavier-Stokes方程式のJacobianの反復計算を行う.系の自由度の増大による高い計算コストは数値解の探索における重大な問題である.コスト緩和のために静的SmagorinskyモデルによるLES系での数値解探索を考察したが,十分な緩和にならなかった.ところで,軌道不安定性解析でも,Navier-Stokes方程式のJacobianを繰り返し解く.我々の軌道不安定性解析の結果から,Jacobianの反復計算による数値解の探索が実行可能な壁摩擦Reynolds数が200程度であると見積もった. 定常外力によって駆動される回転球面上の流れについて,帯状流が形成するパラメータを同定した.帯状流が発現する要因となる数値解の探索を行う. LES系におけるCouette乱流の動力学を記述する不安定周期解の軌道不安定性を調べ,小スケールの剪断構造が不安定性に寄与することを明らかにした.国際学会ETC18,Statphys28,AJKFED2023で発表した.本件は論文執筆中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元発達乱流は外力などによらず統計的普遍則をもつ.このことはスケールが小さいほど普遍的な運動が存在することを示唆する.数値解探索をフィルター方程式による最小化問題に定式化した.計算が極めて容易なshellモデルにおいて予備計算を行ったところ,複数の定常解を検出した. 回転球面上の2次元流れは波の相互作用と関連し,数値解の探索が容易であると予想していた.しかし,長時間積分が必要であり,その過程で帯状波数の遷移を見つけた.数値解の探索と異なる問題をはらんでいると予想している.
|
今後の研究の推進方策 |
予備実験として,Shellモデルにおける周期解の検出を行う.さらにOrr-Taylor-Green流れについて,アルゴリズムを適用して,数値解の探索を行う. 球面上の流れについて,顕著な相互作用をあらわすモードを抜き出すLASSO型の最適化問題に定式化した.データをそろえ,波の相互作用に立脚した数値解探索を試みる.
|