研究課題/領域番号 |
22K03903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 智昭 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70772292)
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研究分担者 |
長田 孝二 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50274501)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 乱流 / 渦層 / 安定密度成層 / 圧縮性流れ |
研究開始時の研究の概要 |
乱流中には強い速度せん断を持つ層状の渦領域(渦層)が存在する。速度勾配テンソルから抽出されるせん断テンソルを基に渦層位置・方向を求める新たな解析手法により、渦層に関わる様々な乱流現象を明らかにする。様々な乱流に対する実験・数値計算により、渦層の統計的普遍性を調査する。圧縮性乱流の実験・直接数値計算では、乱流により生成される衝撃波と渦層の関連に着目した解析を行う。また、大気・海洋に見られる安定密度成層下の乱流について、渦層不安定性の観点から乱流維持機構を調査する。
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研究実績の概要 |
乱流中には強い速度せん断を持つ層状の渦領域(渦層)が存在する。渦層は乱流の動力学特性において重要な役割を果たすことが予想されているものの、渦層の検出が困難であるためその詳細な調査が行われてこなかった。本研究では速度勾配テンソルのせん断成分を基に渦層位置・方向を求める新たな解析手法により渦層に関わる乱流現象を明らかにすることを目的とする。渦層検出には速度勾配テンソルを剛体回転、せん断、伸長ひずみの成分に分解する三成分分解を用いた。せん断成分により定義されるせん断強度により渦層を検出し、渦層位置におけるせん断成分の解析により渦層方向を同定する。渦層方向により定義される局所座標系において渦層のアンサンブル平均を求め、渦層近傍の流れ場を調査した。本手法を一様等方性乱流の直接数値計算データベースに対して適用し、渦層近傍の運動エネルギ輸送や乱流構造を調査した結果、渦層内部のせん断は剛体回転を伴う管状渦によって生じていることが明らかとなった。また、薄い層構造の維持において重要な圧縮歪みも渦層近傍の渦管により生じていることが示された。さらに、異なる二つの乱流間に形成される界面領域と渦層の関連を調査した。本研究では二つのメッシュサイズを持つ格子を並べて配置した乱流格子が生成する乱流場を解析対象とし、時間発展型格子乱流の直接数値計算を実施した。界面領域に渦層が多数存在しており、界面近傍の流れ場に渦層のせん断や歪みが影響を与えていることが示された。また、渦層は乱流エネルギの活発な散逸を引き起こすことが知られている。静的格子および動的格子乱流の風洞実験や安定密度成層下の時間発展型格子乱流の直接数値計算および理論解析を実施し、格子乱流中のエネルギ散逸率のスケーリング則・減衰則を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
速度勾配テンソルの三成分分解を基づく渦層解析手法を確立した。本手法を用いて渦層の生成・維持機構の解明を目的とした解析を乱流の直接数値計算データベースを用いて実施し、渦層内部のせん断や層を薄く保つ圧縮歪みに管状渦が関連していることが示された。また、異なる乱流同士の干渉においては界面領域が重要となると予想されている。界面において渦層が多数存在していることが示され、渦層がこうした乱流干渉において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。渦層の特性のみならずその乱流拡散現象における役割が明らかとなりつつあり、研究が順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
自由せん断乱流、圧縮性乱流、安定密度成層乱流に関する風洞実験および直接数値計算を実施し、様々な環境下の渦層の特性を調査する。圧縮性乱流に関する実験では超音速乱流噴流に対する実験を行う。圧縮性乱流の数値解析では衝撃波を伴う流れ場を取り扱うため、5次精度WENO (Weighted Essentially Non-Oscillatoryscheme) スキーム・AUSM (Advection Upstream Splitting Method )スキームを6次精度中心差分法と併用したハイブリッドスキームにより空間離散化を行う計算コードを用いる。安定密度成層乱流の解析では平均せん断の無い一様乱流や乱流混合層を計算対象とする。こうした実験・数値解析により、流体の膨張・圧縮や安定密度成層下の浮力が渦層に与える影響を明らかにすることを目指す。
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