研究課題/領域番号 |
22K03907
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川原 顕磨呂 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (20224818)
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研究分担者 |
米本 幸弘 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70516418)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 二相流 / マイクロチャンネル / 非ニュートン流体 / 濡れ性 / 流体レオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
微小空間内の二相流では、スケール効果により表面張力や粘性力の影響が体積力より大きくなる。特に、微小区間では流れのせん断速度が大きいため非ニュートン粘性の影響が顕著となる。加えて、気体-液体-固体の三相界面が存在する場合、表面張力と関連が深い固液間の濡れ性の影響は無視できない。この粘性力と濡れ性を積極的かつ効果的にして二相流動を制御できれば、高精度・高効率な流体機器・デバイスが創成できると考えられる。そこで本研究では、微小流路内の二相流動特性、特に相界面性状や圧力損失に及ぼす流路壁面の濡れ性、非ニュートンレオロジー特性の影響を明らかにし、二相流動特性を定量予測できるモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ・ミニ流路内の二相流動特性、特に相界面性状や圧力損失に及ぼす流路壁面の濡れ性、非ニュートンレオロジー特性、流路スケールの三つの因子の影響を明らかにし、二相流動特性を定量予測できるモデルを構築することを目的として、本年度は次を実施した。 ・ニュートン流体(水)とマイクロ流路壁面濡れ性の関係を把握するためのデータベースを構築した。その際、流路壁面の接触角を9~166°の範囲で変化させて、流動様式、気泡速度、気泡の長さ、液スラグの長さ、圧力損失、気泡生成時の気液界面の遷移についての広範囲の実験データを獲得した。その結果、圧力損失は流動様式と関係し、その流動様式は壁面の濡れ性に密接に関係することを明らかにした。濡れ性が良い(流路壁面と流体の接触角が小さい)ほど気泡の長さは短くなり、圧力損失は大きくなる。他方、濡れ性が悪い(接触角が大きい)ほど、気泡の長さが増大し、圧力損失は減少することが分かった。 ・非ニュートン流体として用いる高分子(カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド)の水溶液のレオロジー特性を調べた。キャピラリー法により擬塑性特性を把握し、Capillary breakup extensional rheometer法により緩和時間を測定して弾性特性を把握した。加えて、ポリアクリルアミドの水溶液については使用による劣化特性を調査した。その結果、見かけの粘度および緩和時間の減少が確認された。また、急拡大部を通過する際、ニュートン流体では見られないエネルギーの回復を観察し、そのモデルを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、再現性の実験データを得るのに困難した。文献調査等で高分子溶液の使用回数を増やすたびに力学的劣化(粘度の減少、緩和時間の減少)が起こることがあることが分かった。そこで、これが原因ではないかと考え、劣化特性を実験で調査し、困難の原因を明らかにするのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
高分子溶液の劣化特性を把握できたので、今後は当初の計画とおり壁面濡れ性の異なるマイクロ流路に非ニュートン流体二相流を流し、レオロジー特性と濡れ性が二相流動に及ぼす影響を調査する。加えて、ニュートン流体で見られなかった粘弾性流体におけるエネルギー回復についてその詳細を調査する計画である。
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