研究課題/領域番号 |
22K03908
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 康方 日本大学, 理工学部, 教授 (20424749)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 流体計測 / 翼まわり流れ / はく離流れ / 壁面せん断応力 / 流体機械 / 光学計測 / 境界層流れ |
研究開始時の研究の概要 |
厚みの薄い物体表面でも容易かつ高精度に壁面せん断応力と摩擦速度の計測が可能である,オイルフィルム干渉法を,従来の水平平面かつ順流で局所計測という限定的な計測手法を,逆流や2次流れをともなう流体機械の内部流れに対して適用させ,既存の熱線計測や粒子画像流速計測と組み合わせた同時計測手法を開発し,従来よりも物体壁面近傍の流れ場情報の実測値を提供可能な計測手法に発展させることを目的とする.具体的には,干渉縞の検出アルゴリズムの改良,解析手法の改良,風洞実験や数値流体解析による基礎検証により,逆流や主流と直交する成分がある二次流れをともなう流れに対して適用可能にさせる.
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研究実績の概要 |
レイノルズ数が8.0x104で,高揚力状態にある二次元翼まわり流れを対象としたOFI計測,熱線計測,PIV計測を用いて,摩擦速度,壁面せん断応力,境界層速度分布の計測を行い,LES解析値との比較も実施して,高揚力状態での翼負圧面境界層流れにおけるOFIとの同時計測のための基盤構築ができた.また,120 mm角のボックスファンの羽根周り流れを対象として,羽根表面の壁面せん断応力の算出をOFI解析で行い,羽根周りの速度ベクトルの算出をPIVにより行った.外部モーターによる羽根車の制御とこれによる羽根車回転と撮影の同期の精度向上に努めて,OFI解析による回転する羽根表面の壁面せん断応力の算出ができた.また,ボックスファンケーシングを透明化してOFI解析による上記の壁面せん断応力の計測とPIVによる羽根まわりの流速ベクトルの算出の同時計測を行うことができた.この結果,デュアルイメージ法によるOFI計測では干渉縞画像が鮮明に撮影でき壁面せん断応力の算出ができたが,マルチイメージ法による計測では光源の出力が不足して干渉縞画像が一部不鮮明となり,良好な壁面せん断応力の算出が困難となった.これには別途の予算で高出力の光源を導入して回転数を下げた条件にすること,また,複数のカメラで多方向から干渉縞画像を撮影することで画像の明暗の影響を抑制してOFI計測がある程度可能になった.さらに高出力の光源や高感度のカメラを用いることで上記の問題をほぼ解決できる見込みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ボックスファンにおけるOFI計測で定格回転数条件での干渉縞の画像計測が当初の予想以上に難航したため,進捗遅れの主な原因となった.この問題の解決には高出力の光源と複数のカメラによる多方向同時のOFI計測が必要なことがわかり,別予算による高出力光源の導入と回転数を低下させた条件での実施により,時間を要した上である程度が解決できた.また,二次元翼まわり流れのOFI計測においてもOFI・PIV同時計測で当初の予想以上に難航したため,条件を同一にした上での個別の計測に変更したことが進捗遅れの他の理由である.
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今後の研究の推進方策 |
二次元翼まわりの流れを対象とした計測では,まず個別に実施したOFI計測,熱線計測,PIV計測の同時計測を進める.また,実験条件を高揚力状態の他に失速状態も加えて工学的意義を高める.上記の計測において,これまでに進めてきた干渉縞へのPIV解析による干渉縞進行方向の捕捉の適用と曲面による計測精度への影響の調査も実施する. ボックスファンの内部流れでの計測では,200mm角ボックスファンでは定格回転数が速く,光源の出力もこれに対しては十分ではないため,対象を大直径の羽根車で低定格回転数で動作するボックスファンに変更して実施する.これにより計測のハードルを下げて成功に導く.ファン性能・騒音試験装置は本年度中に制御システムの改良を別途進めて完了できたので,予備検討を経て予定通りにこの装置を用いた計測を行う. 以上により,2024年度は逆流や2次流れを有する流れのOFI計測とこれの流体機械内部流れへの適用の基盤構築を行う.
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