研究課題/領域番号 |
22K03913
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
|
研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
片峯 英次 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00224452)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 最適設計 / 形状最適化 / 形状同定 / 流体構造連成 / 有限要素法 / 随伴変数法 |
研究開始時の研究の概要 |
連続体領域形状を設計対象にした形状最適化問題は,機器を設計する上で重要な課題である.その中でも,流体構造連成場の形状最適化は,工学的問題に限らず,例えば,我々の体内における血管内流れの解明,それに関連した人工臓器の設計開発のような医用分野においても重要な課題である.本研究では,申請者らがこれまでに取り組んできた形状最適化を流体構造連成問題へ発展させた解法を提案し,その妥当性を検証する.また,その検証に基づいて,血流と血管壁の連成解析による血管系生体の適応現象等に関する解明を試みる.
|
研究実績の概要 |
本研究では,申請者がこれまでに取り組んできた熱弾性場や熱対流場等の連成場に対する形状最適化をさらに発展させ,流体構造連成問題における形状最適化の解法を提案し,その妥当性を検証することを目的とした.2023年度の主な研究実績は次の通りである. 1. 弾性壁を有する内部流路問題に対して,部分領域での流速分布が目標の流速分布となる流路形状決定のための逆問題を取り上げた.この問題では,部分領域における実際の流速分布と目標の流速分布との二乗誤差積分を評価関数に設定し,その評価関数を最小化する形状決定問題の解法を提案し,数値解析例を通じてその解法の妥当性を検討した.具体的には,上記の形状決定問題を定式化して,随伴変数法を使用して形状修正のための分布系感度関数を理論的に導出し,その感度関数に基づいて形状更新を行う数値解析法を提案した.またFreeFEMを利用した解析プログラムの開発を行い,簡単な数値解析結果によって提案した数値解析法の妥当性を確認した.さらにその研究成果を口頭発表した. 2.上記問題を熱対流場問題へ拡張し,弾性壁を有する内部熱対流流路の部分領域において,温度制御を目的とした形状決定のための逆問題を取り上げた.上記の手順と同様に,形状決定問題を定式化して,形状修正のための分布系感度関数を理論的に導出した.解析プログラムの開発を行い,簡単な数値解析例によって提案した数値解析法の妥当性を確認して,その研究成果を口頭発表した. 3. 定常問題を非定常問題へ拡張した形状決定問題を取り上げ,散逸エネルギー最小化のための形状最適化問題の定式化,形状修正のための感度関数の理論的導出,およびその感度関数を用いた数値解析を行って,提案した数値解析法の妥当性を確認した.また得られた研究成果を口頭発表し,また雑誌論文へ投稿した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度から令和7年度の4年間において,具体的な問題として, (1) 流れ場中の幾何学的非線形性を考慮した構造領域に対する剛性最大化問題,(2) 弾性壁を有する内部流路問題に対して,流体の粘性に基づく全流体領域の散逸エネルギーを最小化する流路形状決定問題,(3) 弾性壁を有する内部流路の部分領域において流速を制御する流路形状決定問題,(4) 上記 (2) の内部流路問題に対して多目的形状最適化,(5) さらに上記 (1)から(5) の定常問題を非定常問題へ拡張した形状決定問題を取り上げ,問題の定式化,形状修正のための感度関数の理論的導出,およびその感度関数を用いた数値解析を行って,提案する解法の妥当性について検証することを目的としている.
これまでに,上記(1),(2),(3) に対する定常問題,および(5)の基本的な非定常問題における形状決定問題に対して,問題の定式化を行い,随伴変数法を使用して形状修正のための分布系感度関数を理論的に導出した.その後, 解法のアルゴリズムを提案した.実際の解析手順は,感度関数を評価するための通常の流体構造連成場解析,随伴弾性場解析(あるいは随伴流れ場解析),および形状修正解析の合計 3つの有限要素解析ステップによって繰り返す解析手法である.また形状修正解析では,形状修正の支配方程式を線形弾性問題に置き換えて解く方法を用いた.最後に,二次元問題のプログラムを開発し,簡単な数値解析を行って提案する解法の妥当性を検証した.
|
今後の研究の推進方策 |
上記の項目(4)および(5)の問題に対して検討する.(4)に関しては,弾性壁を有する内部流路問題に対して,流れ場領域を熱対流場領域へ拡張し,部分領域における温度制御と弾性壁の剛性最大化を目的とする多目的形状最適化問題に対して検討を行う.また,(5)に関しては,流体構造連成場の構造体の部分領域の変位制御を目的とする形状設計問題に対して検討する.具体的には,それぞれの問題の定式化,形状修正のための分布系感度関数の導出,解析アルゴリズムの提案,プログラム開発,数値解析を行って,提示する解析手法の妥当性の検証を行う.
これまでに得られた研究成果について,国内会議において口頭発表,および雑誌論文として発表することを計画している.
|