研究課題/領域番号 |
22K03920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
前田 慎市 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60709319)
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研究分担者 |
小原 哲郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80241917)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | デトネーション / 高速ガス銃 / 飛翔体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、航空宇宙工学、材料科学、惑星科学分野などの学術分野で利用される高速ガス銃において、従来の二段式軽ガス銃の領域である秒速2~3 kmを超える射出速度を、一段式ガス銃と同程度の装置スペースと簡便さで実現することを目的とする。そのために、爆発的な気体燃焼であるデトネーションを応用し、飛行体加速に合わせて複数チャンバのデトネーション燃焼を制御して、高い飛行体駆動圧力を長時間維持するマルチ・チャンバ方式を新たに提案する。この応募者独自のアイデアにより、これまでの一段式ガス銃における上限性能のイメージを覆すシンプルで制御性の高い高速ガス銃を実証する。
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研究実績の概要 |
(1)1本のデトネーション管と発射管を接合したシングル・チャンバ方式の高速ガス銃を構築した。内径5 mm×長さ1 mまたは内径10 mm×長さ1.5 mの発射管に対して、長さ約2 mのデトネーション管の内径を10 mm~50 mmの間で変更して飛行体の射出速度を計測した。その結果、デトネーション管に充填した水素・酸素混合気の初期圧力120 kPa~480 kPaの範囲において、100 m/s~1400 m/sの飛行体速度を得た。また、デトネーション管の内径が30 mm、37 mm、50 mmでは飛行体速度がほぼ変化しないのに対して、20 mm、10 mmでは50 mmの飛行体速度と比べて内径20 mmでは最大約6割、内径10 mmでは最大約2割まで低下した。デトネーション管内の圧力計測より、管内径が小さくなるに従って既燃ガス圧力の経時的低下が顕著であることが分かった。これより飛行体速度が低くなる原因は、デトネーション管から発射管への内径収縮効果が小さくなることに加えて、長さと内径の比が極端に増大することで熱損失が顕著になる可能性が示唆された。 (2)マルチ・チャンバ方式の特性を早期に実験で確認するため、製作が容易な内径10 mmのデトネーション管を2本使って、簡易的な構造の出口集合部を有する高速ガス銃を構築した。2本のデトネーション管の起爆タイミングを様々に変化させて実験を行ったが、現状ではシングル・チャンバ方式を上回る飛行体速度は得られなかった。発射管入口の圧力計測より、マルチ・チャンバ方式は駆動ガス圧力の減衰を補う効果があることを確認できたものの、出口集合部での大幅な流路面積の拡大が駆動ガス圧力を大きく低下させていることが分かった。これにより、今後のマルチ・チャンバ方式の設計に対する様々な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)シングル・チャンバ方式の高速ガス銃を構築し、デトネーション管の内径変化の影響を明らかにした。これにより、マルチ・チャンバ方式の高速ガス銃を構築する際のデトネーション管内径は30 mm程度で良いことが分かった。 (2)当初の計画を越えて、内径10 mmのデトネーション管を2本使ってマルチ・チャンバ方式の高速ガス銃を構築し、その特性を早期に実験で確認することを試みた。現時点では飛行体速度の向上まで達成できていないものの、マルチ・チャンバ方式による駆動ガス圧力の減衰を補う効果を確認する成果が得られた。さらに今後の飛行体速度の向上に向けた、出口集合部の形状などに関する様々な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、まずは昨年度に得られた知見をベースにして内径10 mmのデトネーション管を2本使ったマルチ・チャンバ方式の高速ガス銃を改良する。主に出口集合部の形状を見直し、製作物が小型で済むため様々な形状を試験してシングル・チャンバ方式を上回る飛行体速度が得られるかを確認する。これと平行して、内径30 mmのデトネーション管を2本使ったマルチ・チャンバ方式の構築を進める。内径10 mmでは熱損失の影響が大きいため相対的な性能比較用とし、その成果を適用することで内径30 mmのマルチ・チャンバ方式の構築を効率的に進め、最適な形状および作動条件を明らかにする。
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