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データ駆動型キャビテーションモデルに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K03925
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分19010:流体工学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

岡林 希依  大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40774162)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードキャビテーション / データ駆動科学 / 翼 / 機械学習 / 数値流体力学 / データ同化 / 乱流
研究開始時の研究の概要

キャビテーション流れなどの混相流解析においては,現象を表す数理モデルが必要であるが,普遍的で信頼性の高いモデルの構築は現在に至るまで課題として残り続けている.本研究ではそのブレークスルーとして,ディープニューラルネットワーク(DNN)で数理モデルを代替したデータ駆動型キャビテーションモデルの開発・検証を行う.さらに,学習した流れ場とはまったく異なる流れ場への転移学習の可能性を調査し,両流れ場に共通する特徴,すなわちキャビテーションモデルとしての機能を抽出できるかを明らかにする.将来的には,実験データを学習したDNNで数理モデルを代替することを予定している.

研究実績の概要

相変化も伴う代表的な混相乱流の一つである,キャビテーション流れの数値シミュレーションにおいて,画像処理を利用した計測法により取得したデータを学習データとしたニューラルネットワーク(NN)で数理モデルを代替し,複雑かつ多様なキャビテーション現象を表すことを目的とする.また,それが有するデータ同化的側面によってキャビテーション流れの数値シミュレーションを高精度化する.
研究期間の初年度には,解析対象として二次元翼の周りのキャビテーション流れを採用し,CFDデータベースを訓練データセットとしたデータ駆動型キャビテーションモデル(実態としてはNN)を流れの数値シミュレーションコードに実装したa posterioriテストを行った.しかしながら,強い非定常性を有するキャビテーション現象に起因する数値的不安定性に機械学習モデルの予測誤差が加わることで計算が発散した.今年度は,これを改善するために,非定常性が特に強い箇所を局所的に強調し,NNの損失関数に反映するという工夫を試したが,効果は限定的であった.また,比較的定常な流れ場に対しても,同様の結果が得られた.
また,計測データに基づく訓練データセットの構築のために二つの研究要素を実施した.一つ目として,現在のキャビテーション流れで取得できる計測データを想定した疑似データを用いた双子実験を,アンサンブルカルマンフィルタを用いて行い,訓練データセットを構築するために必要な前処理(計測誤差・観測ノイズの除去,欠測データの補完,支配方程式の満足)の実現可能性を示した. 二つ目として,高々空間二次元である粒子画像流速測定法などの計測データを,CFDデータを援用した超解像機械学習ネットワークによって三次元に拡張する手法を開発した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は,1.CFDデータベースを学習させたデータ駆動型モデルによるキャビテーション流れの数値シミュレーションの枠組みを構築すること,2.マルチタスク学習による汎化性能の調査,3.学習した流れ場とは異なる場への転移学習,の3つの小課題からなる.3年間の研究期間のうち,上記の課題1について,強い非定常性を伴う現象を,NNが局所的な質量保存を満足しつつ,それを支配方程式とカップリングすることは困難であるという知見が得られ,方針転換を余儀なくされたため,「やや遅れている」を選択した.しかしながら,将来的に用いる予定である,計測データに基づく訓練データセットの構築手法の開発を完了し,一定の成果を挙げた.

今後の研究の推進方策

R5年度までの成果として,急激な気泡発生や消滅,大規模な気膜の運動など,局所的な強い非定常性に起因する数値的に不安定な領域に,データ駆動型モデルが予測した時間微分項の精度不足が加わることで質量保存誤差が拡大し,計算が発散することがわかっている.そこで,今後は数理モデルだけをNNで置き換え,支配方程式とカップリングして解くのではなく,支配方程式も含めてNNで代替したリアルタイム性のあるサロゲートモデルを作成するという方針に転換する.さらに,まったく異なる解析対象(ドメイン)をそれぞれ学習した複数のサロゲートモデルから,AIのドメイン汎化技術を用いて,計測対象や流れ条件を除いた両ドメインに共通する特徴,すなわちこれまで数理モデルで記述してきた(あるいは記述できていなかった)キャビテーション流れの本質的な物理を抽出し,訓練データセットにない解析対象にまで一般化する.さらに,獲得したブラックボックス的なサロゲートモデルを説明可能なAI(Explainable AI; XAI)の技術を用いて人間に理解できる形にして流れの本質を明らかにする.また,R5年度に構築した手法を用いて,双子実験ではなく実際の計測データを用いたデータ同化を行い,計測データに基づく訓練データセットの作成を行う.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 翼周りのシートキャビティ界面を追跡するキャビテーションモデルの開発と翼性能の定量的精度への影響の調査2023

    • 著者名/発表者名
      岡村俊吾, 岡林希依
    • 雑誌名

      混相流

      巻: 37 号: 2 ページ: 234-242

    • DOI

      10.3811/jjmf.2023.018

    • ISSN
      0914-2843, 1881-5790
    • 年月日
      2023-06-15
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CFDデータを用いたデータ駆動型キャビテーションモデルの枠組みの構築2023

    • 著者名/発表者名
      野田 隼司, 岡林 希依
    • 雑誌名

      混相流

      巻: 37 号: 1 ページ: 94-102

    • DOI

      10.3811/jjmf.2023.010

    • ISSN
      0914-2843, 1881-5790
    • 年月日
      2023-03-15
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] SGS渦からの初生を考慮したキャビテーションLESモデルによる翼周りはく離乱流場の解析2023

    • 著者名/発表者名
      岡林希依
    • 雑誌名

      ながれ

      巻: 42 ページ: 87-90

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] キャビテーション乱流のCFDデータベースを用いたデータ駆動型キャビテーションモデルの開発に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      岡林希依
    • 雑誌名

      CYBERMEDIA HPC JOURNAL

      巻: 13 ページ: 63-66

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Optimization of configuration of corrugated airfoil using deep reinforcement learning and transfer learning2023

    • 著者名/発表者名
      Noda T.、Okabayashi K.、Kimura S.、Takeuchi S.、Kajishima T.
    • 雑誌名

      AIP Advances

      巻: 13 号: 3 ページ: 035328-035328

    • DOI

      10.1063/5.0134198

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] キャビテーション流れのデータ同化システム構築のための双子実験2023

    • 著者名/発表者名
      岡林希依,岡村俊吾
    • 学会等名
      第21回キャビテーションに関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 超解像機械学習を用いた二次元翼周りキャビテーション流れの三次元流れ場への拡張2023

    • 著者名/発表者名
      岡林希依
    • 学会等名
      第21回キャビテーションに関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] データ駆動型キャビテーションモデルの数値的安定性に関する調査2023

    • 著者名/発表者名
      本園由奈,岡林希依
    • 学会等名
      第21回キャビテーションに関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Deep Reinforcement Learning for the Optimization of the Sensor Position of V-control2023

    • 著者名/発表者名
      Yonosuke Ofuchi, Kie Okabayashi
    • 学会等名
      ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Speed-up of the Optimization of Fluid Control Laws by using Dynamic Mode Decomposition in the Environment of Deep Reinforcement Learning2023

    • 著者名/発表者名
      Taku Sakamoto, Kie Okabayashi
    • 学会等名
      ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] キャビテーション乱流のCFDデータベースを用いたデータ駆動型キャビテーションモデルの開発に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      岡林希依
    • 学会等名
      Cyber HPC Symposium 2023
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 深層強化学習とCFDの融合による翼形状および乱流制御手法の最適化の試み2022

    • 著者名/発表者名
      岡林希依, 野田隼司, 大淵鷹之介
    • 学会等名
      第86回ターボ機械協会総会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] データ駆動型キャビテーションモデルの学習モードに関する予備的研究2022

    • 著者名/発表者名
      野田隼司, 岡林希依
    • 学会等名
      混相流シンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層強化学習を用いたV制御のさらなる最適化の試み2022

    • 著者名/発表者名
      大淵鷹之介, 岡林希依
    • 学会等名
      第36回数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層強化学習を用いた円柱周り流れの揚力変動制御最適化における動的モード分解の導入2022

    • 著者名/発表者名
      坂本琢, 岡林希依
    • 学会等名
      第36回数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻流体物理学領域HP

    • URL

      http://www-fluid.mech.eng.osaka-u.ac.jp/index-ja.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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