研究課題/領域番号 |
22K03938
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小橋 好充 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (80469072)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 内燃機関 / デュアルフューエル / オゾン / カーボンニュートラル燃料 / ガス燃焼 / 着火 |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンニュートラル社会の実現には,自然エネルギー由来の水素および水素と二酸化炭素から合成可能な低級炭化水素 (気体燃料:メタン,プロパンおよびブタン) および高級炭化水素 (液体燃料) の高熱効率な燃焼法の構築が不可欠である.そこで,本研究では,高級炭化水素とガス燃料のデュアルフューエル燃焼に微量のオゾンを導入することで,安定かつ燃焼完結性の高い超希薄燃焼法の構築を試み,最終的にはその燃焼方式の実現可能性ならびに最適ガス燃料組成を明らかにする.
|
研究実績の概要 |
本年度は再生可能エネルギー由来の水素および二酸化炭素からメタネーションにより合成可能なメタンを主燃料とするガス燃料を用い,高着火性の液体燃料を着火源とするデュアルフューエル燃焼エンジンにおいて,ごく微量のオゾンをエンジン吸気に添加することによる着火および燃焼時期の制御,ならびに熱効率の向上と排ガスの低減を試みた. その結果,高着火性の液体燃料はエンジン圧縮行程の早期に燃焼室内に広く分散すると,オゾン由来の酸素ラジカルと反応し,着火が顕著に促進すること,この特徴を利用すれば燃焼位相を広く制御可能なことが明らかとなった.また,圧縮上死点近傍でエンジン燃焼室内に直接噴射された液体燃料の着火はオゾン添加の影響をほとんど受けず,燃焼室に広く分散したガス燃料の自着火が促進されることも明らかとなった. この知見を活用することで,より一層の希薄燃焼化による熱効率向上を図るため,過給条件下においてオゾン添加をともなう場合のエンジン燃焼を検討した.その結果,希薄燃焼による失火の助長ならびに燃焼効率の低下は,オゾン添加により大幅に緩和され,希薄燃焼による冷却損失の低減効果とあいまって熱効率が大幅に向上することが明らかとなった.さらに,液体燃料を圧縮行程の早期に広く分散させる方式の方が,より低いオゾン量で燃焼を促進し得ることがわかった. 以上のことから,オゾン添加と過給希薄燃焼による熱効率の向上とNOxの大幅低減が可能となる条件を明らかにすることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,初年度はオゾンを添加したデュアルフューエル燃焼のエンジン試験を実行することができ,さらに過給による希薄燃焼を試みることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
デュアルフューエル燃焼にオゾンを添加すると,オゾンが生成する酸素ラジカルが起点と なり着火および燃焼を促進していることは間違いのない事実と考えられるが,液体燃料を圧縮行程早期に供給した場合と圧縮上死点で供給した場合では,液体燃料に及ぼすオゾンの影響が異なることも明らかとなった.この詳細なメカニズムを解明するため,化学反応計算を用いた検討を行う必要がある.さらに,様々なカーボンニュートラル燃料の利用を考慮してガス燃料の組成依存性についても検討する. エンジン実験に関しては,まだ特定のエンジン負荷条件においてオゾン添加と過給希薄燃焼の有効性を確認した段階である.広いエンジン負荷範囲に対しても,オゾン添加量および過給圧力を変化させた実験を行う予定である.
|