研究課題/領域番号 |
22K03942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
永井 二郎 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (70251981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 沸騰 / 冷却 / 自発核生成 / 濡れ開始 / 伝熱モデル |
研究開始時の研究の概要 |
工業上幅広く利用される高温面の沸騰非定常冷却技術において長年の未解決課題の1つである「高温面濡れ開始点の条件」の解明を目指し、実験的アプローチとして、高温固液界面近傍の自発核生成現象を微視的かつ高速度観察し、実際に濡れ面が乾き面へ移行する過程を確認する。一方数値解析アプローチとして、固体側・液体側双方の非定常熱伝導と固液界面自発核生成を連成させた非定常伝熱モデルを改良し、固体側・液体側の条件を種々変えて計算する。
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研究実績の概要 |
高温面沸騰冷却時の濡れ開始点条件解明を最終目標として、本研究は目的①と②を設定した。 目的①は、局所的濡れが乾燥面に移行する過程の微視的・高速度観察による濡れ開始の実験的把握である。当初は、耐熱ボアスコープを購入し試験液体にHFE-7100を用いたスプレー冷却系で実験を行う予定であった。しかし1年目(2022年度)において、各種ボアスコープ等を検討した結果、期待される観察倍率が実現できなかったことと、世界的にHFE-7100の製造・供給がストップしたため、実験内容を変更した。すなわち、試験液体として水を用いた液滴落下系として、ベローズと拡大用マクロレンズを用いた観察系により、局所的濡れの抑制過程の微視的・高速度観察に成功した。画像計測により、固液接触面の乾燥点(発泡点)数密度と局所的濡れ直径の時間変化を計測し、固体初期温度の上昇に伴うそれら諸量の定量的変化を評価できた。しかし、2022年度では加熱用オイルの白濁等の発生が原因となって、固体初期温度が270℃以上での観察は実現出来なかった。そこで2年目(2023年度)において、可視化用伝熱面サファイア板裏面にITO膜を蒸着し通電加熱する装置に改良することで、固体初期温度300℃以上での観察に成功し、濡れ開始点近傍での諸量測定を行った。濡れ開始点には、液滴衝突速度と固体初期温度が関与することを見出した。 目的②は、固体・液体内の非定常熱伝導と固液界面近傍の自発核生成を連動させた非定常伝熱モデルの改良と、モデル計算による濡れ開始条件の解明である。1年目では、既存の伝熱モデルに対して、不等間隔格子による計算領域拡大を導入することができた。それにより、固体側の熱容量が増大し、より実現象に近いモデル計算ができるように改良された。2年目において、計算系全体のエネルギーバランスが一部とれていない条件があった不具合を改善することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(研究実績の概要に記載の通り)目的①に関しては、1年目(2022年度)は当初の予定を変更せざるを得ず、2年目(2023年度)においてITO膜蒸着の工夫によりようやく濡れ開始条件近傍での可視化が可能となった。 目的②に関しては、2年目(2023年度)において各種条件でのモデル計算を行う予定であったが、最終的なプログラムチェック段階においてエネルギーバランスが成立していないケースが見られ、その改良に時間をとられた。
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今後の研究の推進方策 |
(現在までの進捗状況に記載の通り)目的①および②それぞれにおいて進捗がやや遅れている。3年目(最終年度)においては、目的①の可視化実験では液滴落下条件を変更させながら濡れ開始条件(濡れ限界)を実験的に見出す。 目的②の伝熱モデル計算では、固体材料・液滴種類・液温等の各種パラメータを変更させた上で、自発核生成に起因する濡れ限界条件を計算的に見出す。
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