研究課題/領域番号 |
22K03947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小糸 康志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70347003)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 自励振動式ヒートパイプ / ポリマーヒートパイプ / フローパターン / 伝熱促進 / 気液分布 / 設計式 / 重力 / ハイドロフルオロエーテル / 熱輸送 / 気液二相流 / 可視化 / 映像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではプラスチック系自励振動式ヒートパイプを研究対象とし,可視化実験と解析を行う.ヒートパイプの流路サイズ等の設計条件,ヒートパイプの設置姿勢等の使用条件を変化させて実験と解析を行い,従来のメタル系自励振動式ヒートパイプと比較して,自励振動現象の相違点ならびに熱輸送メカニズムの相違点を明らかにする.その上で,プラスチックを対象とした自励振動式ヒートパイプの設計式を構築する.
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研究実績の概要 |
前年度,プラスチック系自励振動式ヒートパイプ内において,液スラグ同士,蒸気プラグ同士の合体が起きたことから,本年度はまず,ヒートパイプの流路サイズと液スラグ・蒸気プラグの気液分布との関係について検討した.具体的には,1.0mm(幅)×0.6mm(高さ),1.0mm×0.7mm,1.0mm×1.0mmの流路を製作し,流路内に液スラグ・蒸気プラグの状態で作動流体を分散させ,流路を鉛直向きに設置してその後の気液分布の変化を確認した.作動流体にはハイドロフルオロエーテルを用いた.自励振動式ヒートパイプに関する従来の設計式に基づくと,上記のサイズの流路内では液スラグ・蒸気プラグの分散状態が維持されるが,本実験ではいずれのサイズの流路の場合も液スラグ同士,蒸気プラグ同士が合体し,気液分布が従来の設計式に従わないことが確認された. 次に,ヒートパイプの作動特性に及ぼす重力の影響を確認するため,ヒートパイプの設置姿勢を変化させて,初年度と同様に可視化実験と映像解析を行った.前年度,ヒートパイプを水平に設置して実験を行ったことから,本年度はヒートパイプの設置姿勢を水平から鉛直方向に45度,90度と変化させ,ボトムヒートモードで実験を行った.実験結果から,重力の影響を受けると作動流体のフローパターンが大きく異なり,加熱量が小さいときには液スラグと蒸気プラグがランダムに振動する振動流,加熱量が大きくなると液スラグと蒸気プラグが振動しながら一方向に流れる循環流へとフローパターンが変化することが確認された.さらに,重力の影響を受けるとヒートパイプの熱輸送も促進され,ヒートパイプ全体の熱抵抗の最小値で比較すると,水平姿勢から45度の姿勢に変化させることによって36%,90度の姿勢に変化させることによって48%の抵抗低減が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,自励振動式ヒートパイプの設計式について具体的な検討を進めることができ,さらに,ヒートパイプの作動特性に及ぼす重力の影響を明らかにすることができた.このことから,当初計画を踏まえた上で「おおむね順調に進展している」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
ヒートパイプの理論モデルを構築して実験結果を理解することにより,プラスチック系自励振動式ヒートパイプとメタル系自励振動式ヒートパイプの熱輸送メカニズムの違いに迫る.具体的には,液スラグの動きに着目して運動方程式を立て,蒸気プラグと伝熱との関係を定式化することにより理論モデルを構築する.ヒートパイプの設計条件,使用条件を変化させて理論解析を進める計画である.その上で,プラスチック系とメタル系の自励振動式ヒートパイプの熱輸送メカニズムの違いを整理し,プラスチックを対象とした自励振動式ヒートパイプの設計式を構築する計画である.
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