研究課題/領域番号 |
22K03950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
小野 俊雄 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40332639)
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研究分担者 |
村上 修一 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (70359420)
佐藤 和郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (30315163)
山田 義春 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (50463625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 熱伝導率 / 微細加工 / 単結晶育成 / 磁性体の量子相転移 / 熱マネジメント / 熱輸送 / 量子スピン / スピンカロリトロニクス / 有機ラジカル磁性体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,磁性体の電子スピンを用いて熱流を制御するスピンカロリトロニクスの研究分野に,多彩なスピン状態とそれらの状態間の相転移について多くの研究が蓄積されているイオン結晶や有機ラジカルの結晶で構成される“量子スピン系”と呼ばれる磁性体を導入することにより,この研究分野に新たな展開をもたらすことを目指すものである。大型の単結晶の育成が困難な磁性体についても系統的な研究を可能にするために,微細加工技術を用いた微細熱流プローブの開発も並行して行う点が,本研究の特徴的な点である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は磁場によって熱流をコントロールできるような磁性体を,微細加工技術によって作成した熱流プローブを用いて探索することである.本年度では,試作したプローブにおいて問題となっていた,ヒーターおよびセンサーの載ったダイアフラムの座屈を解消することに取り組んだ.この座屈は,測定試料とプローブの間の熱接触を低下させる原因となっていて,測定結果の再現性を低下させる.この座屈が生じるのは,製作工程で生じるダイアフラム内の圧縮応力に起因している.そこで,これまでダイアフラムとして用いていたSiをベースとしたダイアフラムから,熱処理工程により応力をある程度制御できるTaをベースとする別の材質をダイアフラムとして持つ,新たなプローブを製作した. 製作したプローブを顕微鏡で観察したところ,期待通り座屈のない平滑なダイアフラムを持つプローブが得られた.液体ヘリウム温度領域までの低温測定も実施したところ,熱膨張係数の小さい試料では最低温の2Kまで測定ができた.その一方で,熱膨張係数の大きい試料では降温時の試料の熱収縮によってダイアフラムとの間にストレスが発生し,ダイアフラムが破断してしてしまった.これは,現段階での作成条件ではダイアフラムにかかる引っ張り応力が大きすぎるためだと考えている.そこで,ダイアフラムの成膜条件を変えたプローブの制作に取り掛かった.しかしながらヒーター及びセンサーの成膜工程に使用する装置の不具合解消に年度末まで時間を要したため,プローブの製作は次年度への継続課題とし,本年度の残りの期間は,既存プローブを用いた測定法の検証や,磁場中での動作検証に適した,熱伝導率の先行研究の存在する物質について単結晶育成を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの研究からヒーター・センサーを搭載するダイアフラムの座屈が測定の再現性に大きな影響を与えていることがわかった.そこで,本年度の研究では,ダイアフラムの成膜を様々な条件で試しながらプローブを製作することを計画していた.しかしながら,プローブの製作上重要な工程である,ヒーター・センサーの成膜工程で使用する機器が長期間メンテナンスのため使用できなくなったため,計画を変更せざるを得なくなった.このことが,進捗状況が遅れている理由である.その代わりに今年度は将来的に調べる予定であった酸化物や有機化合物の単結晶育成を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度末にストップしていたヒーター・センサーの成膜機器のメンテナンスが完了したため,来年度よりプローブの改良工程を再開する.概要の説明の通り,試験測定の結果をダイアフラムの成膜条件にフィードバックすることで,ダイアフラム生じる応力を調整していく.このダイアフラムに生じる圧縮と引張応力が,ちょうど釣り合う条件で最も強度が強くなることが予想される.プローブの製作とそのプローブによる試験測定のサイクルを進めることで,制作条件の最適化を次年度の前半中に行う.同時に有機化合物に多く存在するスピン・パイエルス転移を示す物質について熱伝導率を調べ,相転移と熱伝導率の関係について系統的に研究を行う.
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