研究課題/領域番号 |
22K03957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
阿部 陽香 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70462835)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 構造相転移 / 熱容量 |
研究開始時の研究の概要 |
573℃付近における水晶(SiO2)のα相とβ相の構造相転移は、不整合相(Incommensurate相、以下IC相)を伴うことが知られている。この水晶のIC相は、X線・中性子回折法等を用いて確認されているが、熱量測定法による熱的挙動の観測は不十分な状況である。本研究では、示差走査熱量測定及び新しい断熱型熱量計を開発することにより、2種類の測定からこのIC相の観測を行い、その振る舞いを明らかにする。さらに、このIC相中に生じるIC-IC相転移(1q-3q不整合相相転移)を熱的側面から捉えることを試みる。
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研究実績の概要 |
573℃付近における水晶(SiO2)のα相とβ相の構造相転移は、不整合相(Incommensurate相、以下、IC相)を伴うことが知られている。他の結晶に比べ、相転移温度が非常に高く、かつIC相の温度範囲が極めて狭い(約1.5℃)という特異な性質をもつ水晶のIC相は、X線回折、中性子回折、ラマン分光法等により活発に実験研究が進められたが、熱量測定法による熱的挙動の観測は不十分な状況である。そこで本研究では、示差走査熱量測定等を用いた手法により、このIC相の観測を行い、その振る舞いを明らかにすることを目的としている。さらに、このIC相中に生じるIC-IC相転移を熱的側面から捉えることを試みる。 本年度は、示差走査熱量計を用いて、水晶の構造相転移観測のトライアル測定を行った。測定試料としては、天然水晶と成膜基板用の人工水晶を、試料容器に入る大きさにカットしたものを用いた。測定プログラムは、550 ℃~590 ℃の温度範囲における昇温および降温とし、昇降速度(0.2~5 ℃/min)を変えて測定を行った。さらに比較のために、SiO2粒子を用いた構造相転移観測も試みた。天然水晶と人工水晶の測定結果より、相転移温度付近において、単純な一次相転移のピークではない、より複雑な変化を捉えることができた。この複雑な変化は、α-IC-β相転移またはIC-IC相転移を含んでいる可能性があり、これを実証するためには、さらなる詳細な測定が必要である。一方、SiO2粒子の測定では、α-β相転移を捉えることができた。測定課題としては、試料容器の材質(アルミニウム、アルミナ等)の影響、試料の個体差の影響等が挙げられ、今後解決していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画としては、示差走査熱量計による水晶のα-IC-β相転移とIC-IC相転移の観測を目的としており、概ね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の示差走査熱量計による測定結果は、予想以上に複雑な結果となっており、今後、相転移温度付近の振る舞いをより詳細に測定する必要がある。特に、試料容器の材質の影響、つまり試料と試料容器の熱接触が、相転移の変化に非常にセンシティブに影響を及ぼす懸念がある。また、天然水晶の相転移の変化には個体差が見受けられるため、より深い考察を行う予定である。
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