研究課題/領域番号 |
22K03959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊川 豪太 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (90435644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 熱工学 / 分子動力学 / 有機分子修飾膜 / 界面親和性 / 熱輸送特性 |
研究開始時の研究の概要 |
自己組織化単分子膜(SAM)をはじめとした有機分子薄膜材料は,固体表面の物理化学的特性を分子スケールから柔軟に制御する技術として研究が進んでいる.しかしながら,ソフトな特性を有する有機分子膜表面における界面熱輸送特性および界面親和性に対する分子論的メカニズムは必ずしも明らかになっていない.そこで,本研究では分子動力学シミュレーションや機械学習によるデータ分析を駆使して,有機分子修飾膜が有する分子スケールの特性(分子構造や化学的性質)と界面熱輸送特性や界面親和性との相関性を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
自己組織化単分子膜(SAM)をはじめとした有機分子薄膜材料は,固体表面の物理化学的特性を分子スケールから柔軟に制御する技術として研究が進んでいる.しかしながら,ソフトな特性を有する有機分子膜表面における界面熱輸送特性および界面親和性に対する分子論的メカニズムは必ずしも明らかになっていない.本研究では分子動力学(MD)シミュレーションや機械学習によるデータ分析を駆使し,有機分子修飾膜が有する分子スケールの特性(分子構造や化学的性質)と界面熱輸送特性や界面親和性との相関性を明らかにすることを目的として研究を行う. 2023年度は主に界面親和性の評価を実施した.親水性をもつSAM末端,やや親水性をもつSAM末端および疎水性SAM末端の3種類を用いて,表面にストライプ状のパターニングを施した不均一なSAM表面の分子モデリングを行い,その表面上における水液滴の濡れ状態をMD計算した.パターニングの境界付近に3相の接触界線が位置しやすいが,液滴サイズとの関係で接触線がパターン内部に位置する現象も確認された.また,これによって液滴の左右で非対称な接触角が発現する.ピニング現象に類似の現象が見られ,液滴サイズを増加させると接触角が増加する振る舞いが確認されたほか,時間経過によって接触線がパターン境界から外れるデピニングの現象も確認された.これらは液滴サイズと表面パターンサイズとの相対関係にもよるものと考えられるため,今後より詳細な解析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SAM・液体界面の界面熱輸送特性および液滴接触モデルにおける界面親和性の評価について,分子動力学シミュレーションのモデリングからシミュレーション結果の解析に至るまで,一通りのワークフロー(高速なMDパッケージへの移行も含め)を確立した.また,液滴接触状態についての後処理解析コードの整備も行うことができた.界面親和性については,液滴接触状態への液滴サイズ依存性や界面自由エネルギー評価について,今後実施していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後界面熱輸送特性の評価については,広範なSAM分子種に加え,被覆率の異なるSAM界面,不均一性を変化させ,界面熱輸送特性の測定を行う.また,界面親和性の評価についても,不均一なSAM界面における不均一性と液滴サイズの長さスケールの関係を変えたモデリングを行い,接触角の測定や局所応力解析を行う.また,界面張力・界面自由エネルギーの直接評価を実施し,ソフトな界面における濡れ性の理解を進める.このようにデータの蓄積を進めた上で,分子スケール構造要因の評価を行い,界面親和性や界面熱輸送特性との相関性を機械学習によるクラスタリング手法や特徴量重要度の解析により明らかにしていく.
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