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マイクロスリットチャネル内サブクール流動沸騰の限界熱流束の予測

研究課題

研究課題/領域番号 22K03960
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分19020:熱工学関連
研究機関山形大学

研究代表者

鹿野 一郎  山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10282245)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード小型冷却器 / 蒸発潜熱 / 沸騰熱伝達 / 熱伝達促進 / 限界熱流束予測 / サブクール流動沸騰 / 機能性流体 / 限界熱流束 / 静電圧力
研究開始時の研究の概要

最近、自動車の電動化とともに大きな問題となる電子デバイスの発熱・放熱問題を解決する新たな技術が注目されている。特に、高い冷却能力を有している沸騰熱伝達を冷却へ応用する場合は、沸騰面に蒸気の膜が形成されて急激に冷却能力が低下する限界熱流束(CHF)が存在するので、CHF向上のための新技術やその予測値が非常に重要になる。
申請者はCHFを向上させるためにマイクロスリットチャネル(MSC)法を発明したが、このMSC法をデバイス冷却に応用すると、沸騰様相が基礎実験と異なるためにCHF発生メカニズムが複雑になった。そこで、本研究では,デバイス冷却における沸騰様相を明らかにし、CHF予測式の導出をめざす。

研究実績の概要

令和5年度は、前年度に導出した限界熱流束(CHF)予測式の適応範囲を広げるために、沸点の異なる2種類の冷媒に対してサブクール流動沸騰熱伝達実験を行った。冷媒は、HFE-7000(3M製、沸点34 ℃)、AMOLEA(AGC製、沸点15 ℃)を採用した。また、実験パラメータとして、電界、流量、系圧力、サブクール度を変化させて予測式の精度を検証した。予測式中には、液体の誘電率、および沸騰面と液体との接触角を代入する項がそれぞれあるが、沸点が常温よりも低いAMOLEAのデータを得ることができなかった。そのため、誘電率はモル分極率の実験値を文献から検索し、クラジウス・モソッティの式を用いて誘電率を求めた。また、誘電率の計算精度は、液体と蒸気の界面に発生する静電圧力を測定することによって検証した。静電圧力を測定する装置は、液体が蒸発しないように加圧できる装置を開発した。また、接触角は、-5 ℃の恒温室内で稼働できる接触角測定装置を開発して測定した。静電圧力は、-3 kV/mmの電界に対して150Paを発生し、接触角は13.48 °を示した。誘電率と接触角が分かっているHFE-7000のCHF予測値は実験値に対して±18 %以内の精度で予測できるのに対して、沸点の低いAMOLEAの場合でも、予測式は実験値を±8 %で予測できることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

前年度は、当初の計画を前倒してCHF予測式を構築し、実験結果との比較において実験を±18 %の精度で予測できることを明らかにした。今年度は、様々な冷媒に対して予測式が有効かどうかを確かめるために、異なる2種類の冷媒に対してCHF予測式を検証することにした。採用した冷媒AMOLEA(AGC製、沸点15 ℃)は沸点が低いので、静電圧力や接触角測定の測定のために実験装置の開発を行い、それらの結果を予測式中の物性値に代入した。その結果、物性の異なる液体を用いても、CHF予測式は実験値を18 %以内で予測できることを明らかにした。予測値と実験値との比較において、電界印加による沸騰促進は沸騰容器内の蒸気の割合(乾き度)を上昇させ、潜熱による吸熱作用が限界熱流束の向上に大きく作用することが分かった。さらに、電界印加による促進効果により、沸騰容器内に流入してきた液体がすべて蒸発するまで沸騰が促進されていることが分かった。

今後の研究の推進方策

次年度は、CHF予測式の精度検証のため、さらに沸点の異なる液体AE-3000(AGC製、沸点55 ℃)を用いて実験を行う。また、沸騰面性状とCHFとの関係には様々な手法が報告されており、特に沸騰表面の吸水能力(Wickability)との関係に注目して、CHF予測式を改良してく予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] SUBCOOLED FLOW BOILING OF HFE-7000 UNDER ELECTRIC FIELD2023

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Kano, Yasuhiro Nakajima, Hideyuki Nagao, Makoto Iyoda
    • 雑誌名

      Proceedings of the 17th International Heat Transfer Conference

      巻: 219 ページ: 1514-1522

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of electric field, mass flow rate, and subcooling degree on subcooled flow boiling in a micro-slit channel2023

    • 著者名/発表者名
      Kano Ichiro、Nagao Hideyuki、Iyoda Makoto
    • 雑誌名

      Applied Thermal Engineering

      巻: 229 ページ: 120602-120602

    • DOI

      10.1016/j.applthermaleng.2023.120602

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 微細構造面上のサブクール流動沸騰熱伝達に及ぼす電界の影響2023

    • 著者名/発表者名
      柴田 裕也、関塚 永真、鹿野 一郎
    • 学会等名
      第60回日本伝熱シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 電界印加時のサブクール流動沸騰熱伝達の実験的研究2023

    • 著者名/発表者名
      佐久間 蓮、山崎 雄斗、鹿野 一郎
    • 学会等名
      第60回日本伝熱シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ダイヤモンド微粒子を施したマイクロフィン上のサブクール流動沸騰熱伝達2023

    • 著者名/発表者名
      関塚 永真、柴田 裕也、鹿野 一郎
    • 学会等名
      日本機械学会東北支部第59期総会・講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] SUBCOOLED FLOW BOILING OF HFE-7000 UNDER ELECTRIC FIELD2023

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Kano, Yasuhiro Nakajima, Hideyuki Nagao, Makoto Iyoda
    • 学会等名
      17th International Heat Transfer Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of electric field, subcooling, and flow rate on flow boiling heat transfer in micro-slit channel2022

    • 著者名/発表者名
      I. Kano, R. Shiono, Y Nakajima, and R. Hibino
    • 学会等名
      The 32nd International Symposium on Transport Phenomena
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 冷媒にHFE-7000を用いた場合のマイクロスリットチャネル内サブクール流動沸騰熱伝達モデルの構築2022

    • 著者名/発表者名
      日比野 蓮, 中島 泰洋, 鹿野 一郎
    • 学会等名
      第59回日本伝熱シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] マイクロスリット内での電界により促進された二相流の熱伝達研究2022

    • 著者名/発表者名
      中島 泰洋, 日比野 蓮, 鹿野 一郎
    • 学会等名
      日本機械学会2022年度年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 革新的冷却技術2024

    • 著者名/発表者名
      香川 澄、Bing Li 他
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      9784860438548
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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