研究課題/領域番号 |
22K03968
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
氏平 政伸 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70286392)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞の冷温保存 / 保存温度見直し / アルゴン加圧溶解 / 電気インピーダンス計測 / 細胞生存率 / 保存可能期間延長効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では細胞の冷温保存における保存可能期間の延長を目指すため以下の3つのことを遂行する.第1に,能動輸送が働く温度への保存温度見直しの有効性について確認する.第2に,冷温保存における細胞保護効果に関する不活性ガスであるアルゴンの加圧溶解の有効性について究明する.第3に,保存可能期間が短いが故の細やかな保存管理のために,電気インピーダンス計測による冷温保存中の細胞の非破壊かつ即時的な生存率推定方法を確立する.
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研究実績の概要 |
研究計画に沿って遂行内容別に報告する. 1) 冷温保存温度見直しの有効性: 昨年度の成果として能動輸送停止無しの温度(5℃<)の中で最低温度である6℃が有効であることが示唆された.このことから,本年度は計画の1)については行わず2)について遂行した. 2) Arガス加圧溶解による細胞保護効果: 昨年度の成果として,6℃の単層培養細胞の冷温保存実験においてArガスの加圧圧力(圧力レンジ:0~0.6 MPa)が高くなるにつれ保存後の細胞生存率も高くなることが分かった.このことから,本年度は,同様に6℃の冷温保存実験において加圧圧力を安全な範囲で高めて(圧力レンジ:0~1.0MPa)保護効果について調べた.成果として,保護効果は0~0.4MPaでは見られず,0.5~0.8MPaでは圧力増加に伴い高くなり,0.8MPa以上(~1.0MPa)では飽和するという加圧圧力依存性を示すことが明らかとなった. 3) 電気インピーダンス計測による細胞生存率推定: 本年度は,測定の普遍性を確保する目的で,環境による影響,即ち,保存液の組成や保存温度の違いによる影響について調べた.それに先立ち,電気インピーダンスの値は細胞密度や環境の違いによって影響を受けるため,2つの周波数の比率である電気インピーダンス比率[(10kHzの電気インピーダンス値)/(100kHzの電気インピーダンス値)]が評価指標として導入された.結果として,それぞれの条件によって保存時間の経過に伴う細胞生存率の実測値に対する電気インピーダンス比率の傾きが異なり,影響をキャンセルできないことが分かった.そこで,補正指標として電気インピーダンス比率の規格化を行った補正比率を考え,新たに導入した.その成果として,保存液の組成と保存温度の影響をキャンセル出来ることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2つが挙げられる. 1.当初の計画通り,細胞の冷温保存に有効な温度として6℃を見出し,その温度による保存におけるArガス加圧による保護効果の圧力依存性について明らかに出来たため. 2.評価指標としての電気インピーダンス比率の導入と規格化補正により冷温保存中の細胞生存率が推定できることが示唆されたため.これもほぼ当初の計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の遂行内容別に述べる. 1) 冷温保存温度見直しの有効性: 一応昨年度の成果をもって完了とし,今後も2)のAr加圧溶解による細胞保護効果に関する実験を続けていく予定である. 2) Arガス加圧溶解による細胞保護効果: 細胞の6℃の冷温保存においてArガスの細胞保護効果の加圧圧力依存性が明らかとなったため,次年度は細胞保護効果の保存温度依存性(4~7℃)について取り組む予定である. 3) 電気インピーダンス計測による細胞生存率推定: 本年度導入された電気インピーダンス比率の規格化補正であるが,並行して調べられた細胞生存率の実測値を用いたため,生存率100%の時と0%の時それぞれの電気インピーダンス比率を容易に推定することが出来た.しかし,実際の補正比率を利用した細胞生存率の推定では,そもそも細胞生存率が未知のため何らかの方法でこれらを推定する必要が出てくる.これらの課題については,次年度検討するつもりである.
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