研究課題/領域番号 |
22K03972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
網 健行 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00581654)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 限界熱流束 / 二相流 / 下降流 |
研究開始時の研究の概要 |
液体が下向きに流れる下降流では、気泡の浮力による上昇速度と液の下降速度が釣り合い、気泡が停滞する特殊な条件が存在する。本研究では、強制流動系において気泡が停滞する特殊条件下における伝熱機構の解明を目的として、片面・両面加熱の矩形流路を用いた強制流動沸騰における気泡観察ならびに限界熱流束実験を行う。また、幅広い熱物性を対象とした系統的な限界熱流束データの取得を目的として、冷媒を作動流体とした下降流の限界熱流束実験を行い、機構論的限界熱流束モデルの確立を最終目標とする。
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研究実績の概要 |
沸騰二相流が生じる伝熱機器を設計する際に,機器の運転・設計限界を与える一つの要因となるのが限界熱流束である.そのため限界熱流束を高精度に予測することが機器の設計において非常に重要となる.蒸発管内を液が下向きに流れる下降流では,鉛直上向きの浮力と,下向きの液の抗力が気泡に作用する.そのため,これらが釣り合う特殊条件下では気泡が伝熱面から排出されず停滞することで,これまでにあまり報告されていない限界熱流束が発生する.これまで水を作動流体として,下降流の限界熱流束実験を実施し,その諸特性を取得したものの,限界熱流束モデル作成には系統的なデータの蓄積が必須となる.そこで物性値を変化に伴う,限界熱流束特性の変化を得ることを目的として,冷媒R134aを作動流体として用いた伝熱実験を実施した.管内径4,6,8mm,加熱長さ400mmとし,系圧力0.6MPaにおいて,質量流束400kg/m2sまでの範囲において,熱流束を順次させ,管壁温度の逸走が発生した際の熱流束を限界熱流束とした.結果として,加熱部入口の液相流速が大気泡の上昇速度を下回る条件については,大気泡が逆流することで管内は流下液膜が形成され,液膜ドライアウトもしくはフラッディングによると考えられる限界熱流束が発生した.一方,液相流速が大気泡の上昇速度を上回る場合,管内径4,6mmでは下降流と上昇流の限界熱流束にあまり差が見られないものの,管内径8mmでは下降流の限界熱流束が上昇流を大きく下回る結果が得られた.これは本研究で対象としている気泡停滞による特殊条件下での限界熱流束であると考えられ,水とは異なる作動流体を用いて物性値を変化させた場合についても同じような現象が得られることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特殊条件下における下降流の限界熱流束の機構論的モデルを作成するために,系統的なデータ取得を行う必要がある.そのため本研究では,作動流体として冷媒R134aを用いた沸騰伝熱試験ループを作成し,今年度は順調にデータ取得を行うことができた.また,気泡の上昇速度と液相の落下流速が釣り合う特殊条件下における限界熱流束を,水とは異なる作動流体についても生じたことから,現象の再現性は高く,一般性がある議論をするためのデータ取得が可能になった.
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今後の研究の推進方策 |
作動流体を冷媒R134aとする伝熱沸騰ループが完成し,データ取得が可能となったことから,さらに実験条件を拡げ,伝熱沸騰実験を行い,データ収集を行う.なお,気泡停滞が生じる特殊条件下における限界熱流束の機構論的モデルを構築する上では,その詳細メカニズムを明らかにする必要がある.現時点では,生成気泡が伝熱管内に留まることで,気泡が成長し,伝熱管大の大きさまで成長してしまうことで,伝熱管への液の供給を阻害すると考えており,伝熱と流動現象の相互理解が必須である.そのため,加熱部前後に観察部を設けハイスピードカメラを用いた流動観察実験を実施する予定である.
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