研究課題/領域番号 |
22K03974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
内田 浩二 崇城大学, 工学部, 准教授 (00454950)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 再生可能エネルギー / アルコール燃料 / 噴霧 / 混合気形成 / 自着火 / 燃焼 / ディーゼル機関 / 可視化 / 噴霧混合気形成過程 / 噴霧蒸発 |
研究開始時の研究の概要 |
石油資源に脆弱な我が国において生産できる再生可能なバイオ燃料は植物由来アルコールに限定される.このため,アルコール燃料に対応する定置型/移動型転用可能なディーゼル型高効率エンジンシステムを開発することには意義がある.従来の物理的なエンジン改造ではなく,燃料の物性・特性を考慮した自着火燃焼制御法を確立すれば,アルコールのみならず多彩な燃料に対応するエンジン開発が可能となる.特に問題となる着火遅れに影響する因子は既に特定し,相関付けが可能なレベルに達している.本研究では噴霧可視化実験を通し,上記要因に加え,噴霧混合気形成における蒸発過程を把握し,それを基にした自着火燃焼制御法を具体的に提案する.
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研究実績の概要 |
エネルギー・環境問題を背景に、本研究は植物由来アルコールをはじめ、様々なバイオ燃料に適した高効率ディーゼル型エンジンシステム実現に向け、そのキー技術である自着火・燃焼制御法の確立を目指そうとするものである。 これまで行ってきたアルコール噴霧の混合気形成過程に対する理論検討ならびに定容燃焼炉を用いた噴霧可視化実験を通し、噴霧による混合気形成および自着火現象を支配する要因には、燃料物性(理論空燃比と蒸発潜熱)に関わる内部要因と周囲ガス条件(圧力・温度・酸素濃度)に関わる外部要因があることが分かった。現在は燃料の着火遅れと自着火支配要因の定量評価を進めている。しかし、これまで使用してきた定容燃焼炉は電気ヒーター加熱であり、装置の仕様上、周囲ガス条件2.8MPa、 800Kが限界であるため、未だ純アルコールの自着火現象は捉えられていない。そこで本年度は、実験条件範囲拡大を目的とし、予混合燃焼を利用したガス加熱方法を採用した定容燃焼炉を新たに構築し、噴霧可視化実験を実施した。実験では燃料噴射時の周囲ガス酸素濃度を大気空気と同様21Vol.%とし、エタノール(特級:99.5%)を供試した。その結果、周囲ガス圧力0.7MPa、温度2341K(計算値)において、エタノールの噴霧混合気形成過程を可視化することができた。しかしながら、装置周辺からのガス漏れおよび観測窓ガラスの破損等により、目標の周囲ガス条件を達成することができず、エタノール噴霧の自着火現象を捉えることはできなかった。但し、この実験結果から、エタノールの自着火には単純に周囲ガス温度のみが影響するのではなく、周囲ガス圧力も強く影響することを明らかにした。現在は上記事実を確認するため、装置の改修ならびに調整を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は予混合燃焼によるガス加熱を利用して実機関相当の高圧高温場を実現できる定容燃焼炉の設計・製作ならびに光学系計測システムを構築し、噴霧可視化実験を通してエタノールの着火遅れと自着火支配要因を定量的に評価する予定であった。実験装置全体としては概ね完成し、一連の噴霧可視化実験が実施可能な状態に達したが、観測用窓ガラスの破損および装置周辺からのガス漏れが相次ぎ、高圧環境を維持できず、エタノール噴霧の自着火現象を捉えるまでには至らなかった。これらの問題については既に原因を特定しており、現在装置改修を進めている。 一方で、本年度実験装置構築時に、これまで使用してきたディジタルレコーダが経年劣化により故障した。直ぐに代替品を発注したが、半導体不足により製品納品に大幅な時間を割くこととなったため、装置組立ならびに光学系計測システムの調整を優先的に行った。これにより本年度はパラメータ実験に十分な時間を充てることができず、着火遅れと自着火支配要因の定量評価を行うための正確なデータが取得できていないのが現状である。しかしながら、本実験装置が完成すれば、パラメータ実験自体は短期間で実施可能であるため、来年度実施を予定しているDBI法を用いたアルコール噴霧の液相可視化の準備と並行して作業を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点において計画の変更はない。計測機器の故障ならびに実験装置の不具合により実験が遅れているが、これまでの研究結果を踏まえると、噴霧可視化実験によって純アルコール燃料の着火遅れと自着火支配要因の関係を示す3Dマップを作成することができれば、燃料物性の観点から自着火現象を整理することが可能であると思っている。この結果が得られれば、次年度準備を予定しているDBI法とシュリーレン法を用いたアルコール噴霧の蒸発過程の可視化で得られる結果と照らし合わせることで燃料物性との因果関係を明確化できるはずである。この点からも、次年度は着火遅れと自着火支配要因の定量評価を早急にまとめ、DBI法による液相可視化に移行する予定である。 新たに準備するDBI法およびシュリーレン法による気液相同時可視化には光源を超高速で切り替える制御回路が必要となる。基礎回路図については既に入手しているが、内製は基本的に困難であることから、現在製作可能な企業への発注を検討している。これらを準備し、先ずはエタノール噴霧の蒸発過程を可視化する予定である。
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