研究課題/領域番号 |
22K03976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉浦 公彦 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00249814)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | PEFC / 固体電解質形燃料電池 / 触媒層 / 白金触媒 / インクジェットプリンタ / スプレーコート / 添加炭素 / スプレーコート法 / 燃料電池 / 炭素粒添加 / 低コスト化 |
研究開始時の研究の概要 |
脱炭素社会を実現するためには燃料電池の普及は必要不可欠であるが,商品化されている燃料電池商品価格は未だ高価である。本研究は,燃料電池スタックコストの46%を占める白金触媒削減と常温無加湿運転によるシステムコスト削減を実現するため,①触媒層内に生成水を制御するアイオノマー担持炭素粒添加によって三相界面を増加させ,電極中の白金触媒を最大限利用することで使用量を削減する。②インクジェットプリンターで触媒層塗布によって厚み方向と電極面内の白金/アイオノマー/添加炭素粒の組成を変化させた三次元触媒層を形成させる。③触媒塗布速度向上と炭素粒含有触媒インク塗布のためのスプレーコートによる塗布方法を確立する。
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研究実績の概要 |
①DB法を用いて疎水性や親水性を有する炭素種をガス上流部や下流部,または電池全体に添加した5cm×5cmの触媒層を形成し,セル特性評価を行った結果,SWMCは標準セルよりも白金触媒が6.5wt%少なかったが常温無加湿条件下で標準セルよりも良好な性能を得ることができ,SWMCの有効性を確認できた.2分割して添加炭素種を変化させた場合では,アノード極に球状黒鉛,カソード極上流部にグラファイト屑,下流部に黒鉛を添加したSWMCはオーム抵抗が最も低く,分極抵抗は他のパターンよりも低い結果を得たが,再現性やメカニズムなどは未解明であるため更なる検証を要す. ②IJP法を用いて有効電極面積3㎝×3㎝の触媒層を4分割し,I/C比を1/3, 2/3, 3/3, 4/3と上流部から下流部,下流部から上流部と変化させた2種類の触媒層を形成し,電池性能評価を行った結果,上流部からI/C=4/3~1/3と減少させると上流部のアイオノマーによる電子輸送抵抗が上昇した.一方,上流部からI/C=1/3~4/3と増加させると電子輸送抵抗は減少したが,高電流密度域でガス下流部のガス拡散抵抗が増加した.分割数を3分割としてI/C=1/3~3/3で上述の2パターンを検証した結果,両者ともに4分割に比べて各抵抗成分が低減したことで性能向上し,上流部からI/C=1/3~3/3では常温無加湿条件で標準触媒層よりも良好な性能を得て2D触媒層の優位性を確認できた. ③白金触媒リッチインクとアイオノマー修飾炭素インクを交互に塗布した1㎝×1cmの触媒層を形成し,80℃フル加湿条件と常温無加湿条件で評価した結果,SWMCは標準触媒層よりも6.5wt%も白金触媒量が少ないにもかかわらず,常温無加湿条件下では標準触媒層と同等のセル性能を得ることができた.DRT解析では添加炭素によって分極抵抗の内容が異なることを示めせた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①自己水管理型触媒層の開発では,個別の添加炭素種の検討およびその効果による白金触媒使用量の低減はできているが,同一電極内で添加炭素種を組み合わせることは未だできていない.また,添加炭素の触媒層内での状態の分析もイオンミリング装置の不備が続いており未達である. ②IJP法を用いた3D触媒層の開発では,触媒層厚み方向の1Dと電極面内の2Dについてはそれぞれの優位性を確認する時間が長くかかったため,これらを組み合わせた3Dについて検討開始がやや遅れている. ③SP法での2種類の触媒インクを用いた触媒層厚み方向の1D-SWMCについてはその優位性を確認できたが,2D-SWMCに関してはこれから実施していく.
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今後の研究の推進方策 |
検討項目①では,SWMC内の添加炭素の状態を確認するために,イオンミリング装置を修理したが上手くいかなかったため,外部分析委託する予定である 検討項目②では,得られた知見を基に3D-SWMC形成を試み,セル性能評価を行う予定である. 検討項目③では,2D-SWMC形成を試み,セル性能評価を行う予定である.
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