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鰭の柔らかさと動きのしなやかさがもたらす移動能力と機動性向上の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K03977
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
研究機関北海道大学

研究代表者

高木 力  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (80319657)

研究分担者 鳥澤 眞介  近畿大学, 農学部, 講師 (80399097)
竹原 幸生  近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードバイオメカニクス / 魚類 / 遊泳 / 鰭 / ヒレ / 柔軟
研究開始時の研究の概要

回遊魚の高度な移動能力に尾鰭(おびれ)の柔軟な運動が果たす役割を解明する。予備実験では,尾鰭が遊泳時に受動的に変形し,渦の発生を効果的に抑えて尾鰭による揚抗比特性を向上させている可能性が示唆された。また,尾鰭振動を観察すると単純な振動を持続させるだけでなく,振動周期を変えることが確認されたが,これは遊泳時エネルギーの節約や振動翼の振動周波数変化が揚力作用方向を変化させるとした先行研究の興味深い理論を支持する現象と考えられた。そこで,本研究では尾鰭のしなやかさと尾鰭振動の柔軟な変化がその機能や個体の機動性の向上につながるのか個体周辺の流れの構造を解析することにより解明する。

研究実績の概要

本研究では,水中で高度な移動を可能とする魚類の尾鰭の柔軟な運動が果たす役割を生体力学的観点から解明する。特に,尾鰭が創出する渦の立体構造をPIV解析を用いて定量評価した。さらに柔軟な尾鰭性状が個体推進に与える影響を分析するため,超軟質ウレタン樹脂硬度を三段階に変化させたそれぞれの尾鰭振動翼ロボットを作成・評価した。
次にあげる成果が得られた。
(1)尾鰭の硬度が柔軟になるに従って,後流域に形成される渦輪の間隔が狭まるが,その渦度は硬度が大きいほど強くなる傾向を示し,これによる後方へのジェットの大きさは強くなることが示された。
(2)尾鰭振動周波数と尾鰭の柔軟性の相互作用と推力との関係を評価したところ,低周波数,高周波数振動ともに硬度が大きい尾鰭の推力は大きくなる傾向を示したが,高周波数では硬度の小さい尾鰭の推力低下が目立った。一方,低周波ではコントロールで用いた剛な尾鰭部材では推力低下が際立ち,推進効率を高めるためには常用する振動周波数により適切な柔軟性が決定されるべきであることが示唆された。
(3)マアジ(Trachurus japonicus)を回流水槽で遊泳させ後流域に形成される渦輪の三次元構造を緑色と赤色のレーザーシート光を用いて評価したところ,正中線からシート光が上下に離れるに従い放出される渦輪の強度が弱まることが確認された。渦輪の形成は上下に対象ではなく腹側の方がその強度は強かった。このことは渦輪が水平に放出されるのではなく斜め下方に放出されていることを示唆した。以上のように,2層のシート光によるPIV解析により渦輪の三次元的な放出方向が明らかになったほか,個体の推進力特性には鰭の柔軟性と尾鰭振動数が相互に影響を及ぼしあっていることが示された。引き続き生体を用いた実験とリンクさせて渦の構造と鰭の柔軟性の関連性について評価していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

尾鰭の柔軟性が推力に果たす役割を評価するためゲル化素材を用いた尾鰭振動ロボットの導入により効果的な実験が研究協力者の支援により実現できた。また,複層型PIVによる実験が想定通りに行われたことも実験が順調に進展した理由として挙げられる。

今後の研究の推進方策

人工素材による尾鰭柔軟性性状と推力特性の関係はロボット試験の導入により大きく前進したといって良い。研究協力者との連携を密に行い,これまで実施できなかった柔軟性と振動周波数変化が推力に与える影響を総合的に評価し,生体による遊泳メカニズムと尾鰭柔軟性性との関係をさらに深く分析していく。特に周波数変化が渦輪放出の方向性にどのような影響を与えているのかは大きな関心事となっている。この実験はロボットによる実験支援が欠かせないため,生体実験で取得しにくい実験条件を上手く補完させながら今後の研究を推進させる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fish balances flow resistance and high pressure in stagnation area2023

    • 著者名/発表者名
      Go Eguchi, Shinsuke Torisawa, Kohsei Takehara, Tsutomu Takagi
    • 雑誌名

      Journal of Aero Aqua Bio-mechanisms

      巻: 10 号: 1 ページ: 2-8

    • DOI

      10.5226/jabmech.10.2

    • ISSN
      2185-1522
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Analysis of wake flow in fish schooling by dual-layer PIV2023

    • 著者名/発表者名
      Go Eguchi, Shinsuke Torisawa, Kohsei Takehara and Tsutomu Takagi
    • 学会等名
      the SEB’s Centenary Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高速度イメージングを魚類の遊泳メカニズムの理解に活用する2023

    • 著者名/発表者名
      高木 力・江口 剛・田中優斗・竹原幸生・鳥澤眞介
    • 学会等名
      高速度イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 複層PIVによる魚の遊泳時の流れ場解析2023

    • 著者名/発表者名
      江口剛, 鳥澤眞介, 竹原幸生, 髙木力
    • 学会等名
      第46回エアロ・アクアバイオメカニズム学会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 北海道大学 大学院水産科学研究院 大学院環境科学院 海洋生物生産学コース 高木研

    • URL

      https://sites.google.com/view/laboratoryoftakagi/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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