研究課題/領域番号 |
22K03988
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
遠藤 信綱 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (30535844)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ソフトロボティクス / 発話ロボット / 舌 / 声帯 / 柔軟センサ / ロボティクス / ソフトメカニクス / バイオメカニクス / 音響学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,解剖学的知見に基づき,柔軟部材と剛体部材の混成した機構により,ヒト口腔系・喉頭系の構造・運動を再現することで,音声学における知見を実証可能な機械式発話ロボットの構築を目的とする.このために,解決が必要な「剛柔混成機構系をどのように構成・設計するか」というロボット工学的・機構設計学的「問い」に対し,(A) ワイヤ駆動による柔軟物伸長機構,(B) 柔軟物のソフトチューブ埋込式ワイヤ駆動機構,(C) 任意の硬さに調整可能な柔軟樹脂の混合手法,(D) 硬さの異なる柔軟部材の複合成形手法といった柔軟機構構成手法を適用した発話ロボットを実現することで,剛柔混成機構系の設計手法を確立する.
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研究実績の概要 |
柔軟舌機構のための(A) ワイヤ駆動による柔軟物伸長機構として,前年度までに,五節剛体リンク機構による伸縮運動と,柔軟物の局所部分の曲げ剛性を小さくすることに着想を得た,五節柔軟リンク機構(A-a)を開発している.本年度は,この機構の変形についてモデリングした.具体的には,閉ループを持つ剛体リンク機構系に関する力のつりあいと幾何学的な拘束から立式する力学モデルに対し,この機構を実際に構成する柔軟リンク部分および閉ループ内部の柔軟部材の弾性変形を考慮した力学モデルを組み込んだ,変形モデルを立式した.実際に使用している柔軟材料の引張試験から算出した弾性係数を用い,この変形モデルが実際の機構の変形の挙動をよく再現できることを確認した.また,当初計画には無かったが,磁気応答性柔軟材料および電磁石による磁力で変形を制御する機構も開発した. 柔軟機構の変形をセンシングするために,光ファイバに基づく柔軟センサを製作し,機械学習手法を用いた変形状態(伸縮,曲げ,押込み)の推定を行った. 声帯機構として,前年度までに,異なる柔らかさの柔軟樹脂を段階的に一部品に成形することで,ヒト同様の二層構造声帯襞を持つ声帯機構を製作し,ヒト成人男性と同程度の基本周波数の発声が可能であることを確認している.本年度は,これの発声する基本周波数を調整可能な,ヒト喉頭系の解剖学的構造を模した声帯駆動機構を開発した.具体的には,声帯襞前面部を前方に引っ張り下げる甲状軟骨の運動を模した機構と,声帯襞後方部を開閉させる披裂軟骨の運動を模した機構である.また,サイズおよび硬さの異なる声帯機構を複数種製作し,これらの発声実験を行い,音声学で一般的に知られている声帯襞1質点モデルによる挙動の実証実験を行った. 柔軟舌機構および声帯機構の一部について,ここまでの成果を学術誌論文として投稿できるように準備しているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
柔軟舌機構および声帯機構について,学術誌論文として投稿できる程度の一連の研究成果が得られたので,十分な進捗といえる.ただし,柔軟物の変形形状のセンシングについては,若干の遅れがみられる.
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今後の研究の推進方策 |
柔軟舌機構について,これまでに,(B) 柔軟物のソフトチューブ埋込式ワイヤ駆動機構として2種の機構(2本のワイヤを並列配置した機構と,それをさらに直列化した機構),(A) ワイヤ駆動による柔軟物伸長機構として2種の機構(柔軟リンク機構と,(B)にフレキシブルチューブを組み込んだ機構),そして,磁気応答性柔軟材料を用いた機構1種の,計5種を開発してきた.今後は,これらの機構方式を利点欠点を整理したうえで取捨選択し,柔軟舌機構としてまとめ上げる. 声帯機構について,さらに声帯襞を構成する声帯筋の緊張・弛緩を機構的に再現し,解剖学的知見に基づく人工声帯機構としてまとめ上げる.また,声帯振動の音声数理モデルの実証実験を行う.
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