研究課題/領域番号 |
22K03997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
盆子原 康博 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10294886)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 騒音制御 / 振動制御 / 固体伝搬音 / ポンプ配管系 / 水中音伝播 / フレキシブル継手 / コンバージョン建築 |
研究開始時の研究の概要 |
コンバージョン建築におけるポンプ配管系の固体伝搬音に起因する室内騒音問題の実用的な振動抑制技術として,配管振動と水中音波とを同時に抑制するための2個の配管用フレキシブル継手を用いた実用的な振動抑制技術を開発する.まず,フレキシブル継手の2段設置による水中音波の抑制効果について実験と数値解析の両面から検証する.さらに,水中音と配管振動の連成振動を実験的に再現するとともに,適切な数理モデルを構築する.そして,配管振動と水中音波の抑制を同時に実現できる実用的かつ合理的なフレキシブル継手の最適設置法を確立する.
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研究実績の概要 |
コンバージョン建築に生じる騒音問題の一つとして,ポンプ配管系に発生する固体伝搬音問題がある.本研究では,この騒音問題に対する簡便な対策法として,ポンプ近傍の配管に2個の配管用フレキシブル継手を直列に設置する方法(2段設置法)を提案している.この方法によれば,配管を伝播する音や振動を低減することができ,実際の現場においても固体音の低減効果が実証されている.本研究では,2段設置法の更なる性能向上を図るために,配管振動と水中音波とを同時に抑制するための継手の最適設置法の確立を目指している. 令和5年度では,2段設置法による水中音伝播の抑制効果について検証するために,先行研究で製作した直線状配管系の実験装置を改良して再度実験を行い,水中音伝播の抑制効果を実験と数値解析の両面で検証した.その結果,先行研究よりも精度の良い結果が得られ,解析結果とも定性的な一致が見られた.とくに,異なる長さの継手を2段に設置することで幅広い周波数帯域で音響透過損失を増大し,水中音伝播を抑制可能であること確認した. 次に,水中音と配管振動が連成して伝播する問題を取り扱うため,屈曲部(エルボ)を有する配管系に2種類の加振機を設置して水中音と配管振動を同時に発生させる実験装置を製作した.そして,2段設置法による水中音伝播と配管振動伝播の同時抑制効果を検証した.本実験では,配管に加速度センサを設置し,管内に水中音マイクを設置して配管振動と水中音を測定した.その結果,水中音と配管振動とが連成しながら伝播する場合においても,継手を2個設置した場合では水中音と配管振動の伝播を同時に抑制できることが確認された.現在,継手の設置条件による抑制効果の変化について検証実験を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に製作した実験装置では,水中音を発生させる機構や配管長不足など問題があり,水中音伝播が上手く測定できないことがあった.これらの問題点を改善するために,加振機の設置方法や配管の延長など実験装置の改良を行った.一方,数値解析では,音波の伝わる1次元モデルを構築して,共鳴周波数や音波モードを詳細に調べた.さらに,配管と継手の違いをインピーダンスの違いで評価して,音源から下流側へ伝わる音波伝播特性について音響透過損失により評価した.実験と数値解析で得られた結果を比較すると,定量的には差異があるものの,2段設置法の特徴に関しては定性的に一致していることが確認できた.これにより,2段設置法による水中音伝播の抑制効果を実証できたと考える.また,屈曲部(エルボ)を有する配管系の実験装置を製作し,水中音と配管振動を同時に発生させることに成功した.そして,2段設置法により水中音伝播と配管振動伝播を同時に抑制可能であることを示す結果を得ることができた.以上の結果から,本年度の研究目的は概ね達成できたものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
本研究を遂行する上での課題として,水中音速の同定結果が精度不十分であるため,実験結果と数値計算結果の定量的な一致が得られていない.とくに,水中内の気泡含有率が高いと配管部と継手部における音速の差が小さくなり,継手設置の効果が低減することになる.この点を踏まえて実験方法について再検討を行い,水中音波の伝搬抑制メカニズムの解明を達成したい. また,本年度製作した屈曲部を有する配管系を対象として,配管振動と水中音波の連成振動に対する2段設置法の抑制効果を詳細に検証する.現在は,2台の加振機を用いてポンプの運転に伴って発生する配管振動と管内流体の圧力脈動を模擬しているが,本実験の妥当性を確保するために,ポンプ配管系で発生する配管振動や水中音波の実測データと比較しながら,実際の現象に近い連成振動の再現を試みる.また,配管振動と水中音の連成問題を取り扱うために解析モデルを構築し,振動抑制効果のメカニズムの解明と継手の最適設置法の体系化を目指す.
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