研究課題/領域番号 |
22K03999
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 卓実 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (80343432)
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研究分担者 |
長 弘基 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00435421)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 除振 / 座屈 / 形状記憶合金 / ポアソン比 / 非線形 / パッシブ除振 / 材料非線形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、座屈後材料の負剛性特性を利用して振動源の存在を消し去るような除振装置を開発し、また、さらに大きな負剛性を得るための新たな構造を検討して、その力学特性を検証・解明するものである。具体的には、①座屈後Γ型はり構造および座屈後形状記憶合金はりと一般金属材料等を組み合わせることで、振動源からの振動伝達を極限まで抑える除振装置の開発を行う。②大きな負剛性を得るために負のポアソン比を発現する材料を除振要素に適用し、その座屈後変形における力学特性を調査し、除振要素としての適用可能性を検討する。本研究の成果として、振動源による振動ノイズを意識することのない社会の実現により一歩近づくことが期待される。
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研究実績の概要 |
Cu系形状記憶合金の座屈を用いた除振系においては、除振系を実装する際に必要となる基本特性を明らかにすることに取り組んだ。具体的には、下記の2点を検証した。有限要素解析によりCu系形状記憶合金の座屈後復元力の変位履歴依存性を調査した。その結果、従来使用していたTi-Ni系形状記憶合金に比べて、Cu系形状記憶合金は座屈後復元力特性の変位履歴依存性が小さく、微小ノイズに対する除振性能を高度化することが期待されることを示した。また、除振系の加振実験により、除振性能の入力振幅に対する依存性を調査した。その結果、系の除振振動数領域では入力振幅依存性はほとんどなく、概ね線形系の振動特性を示した。ただし、系の1次固有振動数近傍では、系の振幅の増大に伴って共振ピークが左傾するなど、非線形性振動特性が見られた。 次に、負のポアソン比を発現する材料(以下、Auxetic材料と呼ぶ)を用いた除振系においては、有限要素解析および実験により、除振系の基本的な力学特性の明確化を行った。まず、有限要素解析による検討では、前年度明らかにした材料の負剛性特性において、負剛性の発現のコア材料の形状に対する依存性を検討した。その結果、前年度とは異なる形状のコア材においても負剛性特性が発現することを確認し、広範なAuxetic材料において負剛性が発現することを明らかにした。また、実際のAuxetic材を3Dプリンターによって造形し、その力学特性を実験的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cu系形状記憶合金の座屈を用いた除振系においては、除振系を実装する際に必要となる基本特性を実験的に、また数値解析により明らかにした。その結果、提案する除振系は使用が想定される振動数領域内で良好な除振性能および振動特性を示すことを確認した。 負のポアソン比をもつ材料を用いた除振系については、その材料の製造法を検討し、現在は3Dプリンターを用いることで良好な特性を持つ材料を製造可能であることを確認した。また、除振に用いる負剛性特性は、材料の形状に対する依存性は少なく、広範なAuxetic材料で負剛性が得られることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は前年度までの研究成果をもとに、以下の項目を実施する。 形状記憶合金を用いた除振系においては、前年度までに鉛直方向の1自由度除振性能が概ね明らかとなった。2024年度は、現在の1自由度除振系の構造を援用することにより、除振方向の多自由度化を検討する。 また、負のポアソン比をもつ材料を用いた除振系については、現在有限要素解析により得られた特性をもとに、除振装置を試作し、除振性能を実験的に明らかにする。また、Auxeticコア材の形状を検討し、安定に負剛性を発現するコア形状を検討する。
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