研究課題/領域番号 |
22K04007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
星野 洋平 北見工業大学, 工学部, 教授 (90374579)
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研究分担者 |
宇都 正幸 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10201956)
楊 亮亮 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90773739)
陽川 憲 北見工業大学, 工学部, 准教授 (60750908)
ラワンカル アビジート 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70802594)
岩館 健司 北見工業大学, 工学部, 助教 (10636765)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | AI画像認識 / AI土壌成分推定 / 土壌成分マップ構築 / 土壌成分マップ / 植生マップ / 植生セグメンテーションAI / 土壌成分マップ推定AI |
研究開始時の研究の概要 |
本申研究課題では、農業の持続可能性に貢献するために、農業において播種・定植前に行われる基肥の可変施肥を実現するため、実際の農業の現場において現実的なコストで簡便に実施可能でかつ実際の施肥作業にとって必要十分な精度を持った土壌成分マップの構築手法の実現を目指す。実現に向けて、大量の土壌サンプルの自動採集が可能な装置の開発による高分解能土壌成分マップを構築するシステムを構築し、得られた土壌成分マップとAI画像解析で得られる圃場の植物種の植生分布マップと土壌成分マップを統合してAIに学習させ、ドローン撮影した圃場の植物種の植生マップのみで実用上十分な精度をもつ土壌成分の分布を推定する手法を構築する。
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研究実績の概要 |
この研究の目的は、農業において播種・定植前に行われる基肥の可変施肥を実現するため、実際の農業の現場において現実的なコストで簡便に実施可能であり、なおかつ実際の施肥作業にとって必要十分な成分分析精度を持った土壌成分マップの構築手法を実現することである。具体的には、「大量の土壌サンプルを自動的に採集する装置を開発して高精度な土壌成分分析方法・土壌成分マップを構築するシステムを実現すること」、得られた土壌成分マップとAI画像解析で得られる圃場の植物種の「植生分布(作物および複数種の雑草の種類を見分けた)マップと土壌成分マップを統合してAIに学習させ、ドローン撮影した圃場の植物種の植生マップのみから実用上十分な精度をもつ土壌成分の分布を推定する手法を構築すること」である。 令和3年度末までの本研究課題の準備状況として、研究代表者と楊助教によって自動で位置情報を特定しながら多数の地点の土壌採取を行って記録するシステムの構築を進め、一方では画像内にある植物の種類と位置を分類してセグメンテーションを行うAIを構築してきた。さらに、研究分担者の宇都准教授が予備的な研究を遂行しており、手作業でメッシュ状に実圃場の土のサンプルと分析を行ってきた。 令和4年度は、GNSS(GPS)を用いて位置を計測しながら土壌をサンプル可能な作業機を構築した。そして、構築した作業機により畑をメッシュ状にサンプルして動作を確認した。加えて、手作業による土壌サンプルと成分分析を継続して実施し、土壌成分の分析を実施済みの圃場を拡大した。さらに、令和4年度に計上した助成金でマルチスペクトルカメラ搭載のドローンを購入し、土壌成分分析実施済みの圃場の撮影を実施した。そして、撮影済みの画像からの植生マップの構築について検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度末までに、GNSS(GPS)を用いて位置を計測しながら土壌をサンプル可能な作業機を構築し、構築した土壌サンプル作業機による畑のメッシュ状サンプルの動作確認を実施した。従来の手作業による土壌サンプルでは、3~4人で作業してサンプル位置の目印の設置といった準備に1日、実際のサンプルとサンプル位置の記録に1日、の計2日を要した作業を、構築した土壌サンプル作業機では1人で1日以内で作業が可能となった。また、手作業による土壌サンプルと成分分析を本研究課題の開始前の令和3年度から令和4年度も継続して実施した。これにより土壌成分分析実施済みの圃場を拡大した。さらにこれまでに得られた以下に記載のようなデータをGISソフト上に表示することで土壌成分マップとして可視化した。この中で、圃場の作物の生育状況(作物の果実の大きさ)、礫の含まれる量についても、メッシュ状に抽出サンプルして、マップに表示させ、様々な要因と作物の生育状況との相関関係について考察を行い、リンの濃度については場所によって濃淡はあるものの濃度の低い場所でも十分な量が確保されているためか、作物の生育に対してはそれほど大きな影響はないことが分かり、肥料成分としてのリンについては削減できる可能性が見いだされた。一方で作物の生育に対し、窒素成分の量、日照量、礫の密度の影響が大きいことが見いだされ、窒素成分が十分でない位置の生育は悪く、窒素成分が十分な地点においても日照量が少ない位置では当然ではあるが生育が悪いことが分かった。また、令和4年度に予算計上したマルチスペクトルカメラ搭載のドローンを購入し、土壌成分分析実施済みの圃場を撮影して画像データ並びに成分マップのデータを収集し、植生マップAIの基礎となるデータを構築した。以上から令和4年度の計画についておおむね遂行できたことから「おおむね順調に進展している。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、土壌サンプル作業機の完全な自律化には至らなかったため令和5年度にはこれを進める。また、当初の計画には含まれていなかったが、様々な土壌成分構成とそれを好む植生についての知見を深めてAIの構築のための知見を深めて増強するため、土壌成分と作物や雑草の生育の関係について文献調査ならびに農業関係者への聞き取り調査を実施する。加えて、当初の計画どおり、サンプル作業機によりサンプルされた採取位置が既知である土について、精密な分析が可能な分析装置で分析を行う。サンプル位置と分析結果から、各位置の土壌成分をデータベースに記録することで、基肥可変施肥を実現するための土壌成分マップを拡大および更新する。そして実圃場においてドローンにより圃場を撮影して得られた画像を植物種判別AIにより分析し、圃場における植物種の植生マップを構築する。令和6年度には、当初の計画どおり、複数の圃場でこれを実施して土壌成分マップと植生分布マップのデータセットを構築し、AIの学習を行うことで、学習済みのAIに圃場の植物種の植生マップを入力することでおおよそ実用に足る土壌成分マップの構築が可能かを検証する。補助事業期間を通じて、土壌分析に必要な試薬ならびに消耗品を購入して土壌分析を実施し、加えて必要な調査と研究成果の論文投稿および学会発表を令和5年度と令和6年度に実施する。
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