研究課題/領域番号 |
22K04010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋本 稔 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60156297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | PVCゲル / 塩化ビニル / ソフトアクチュエータ / 人工筋肉 / 低電圧化 / 特性改善 / PVCゲルアクチュエータ / 高分子材料 |
研究開始時の研究の概要 |
PVCゲルアクチュエータの低電圧化を目的として材料の最適化を実施する。分子量やSP値より可塑剤の最適化、重合度や塩素含有率などからPVCの最適化を行う。また、フィラーを含有することでPVCゲルの誘電率を調整してPVCゲルの見かけの誘電率を上げて電気的特性の評価を実施する。さらに電極材料の最適化としてステンレス、アルミ、銅、カーボンなどの陽極材料の系統的探索を行う。
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研究実績の概要 |
可塑剤含有量の調整では、最適値の探索を目的とし1:4~1:10までの質量比で評価実験を行った。可塑剤含有量を増加させると、100V以下の低電圧域で変位量の増加が見られた。80V印加時の変位量は、可塑剤質量比1:4と比較して、1:6、1:8でそれぞれ約10%、1:5で約3%増加した。可塑剤質量比1:4のPVCゲルアクチュエータでは、印加電圧に比例して変位量及び収縮率が増加する傾向にあるが、可塑剤含有量を増やした1:6や1:8では徐々に傾きが減少した。400V印加時には、可塑剤質量比1:4で収縮率約9.4%、1:5で約10.2%であるのに対し、1:6では約7.9%、1:8では約4.3%となった。可塑剤質量比1:10ではゲル化しなかった。以上より、100V以下での変位量増加を目的とする場合は、可塑剤含有量を質量比1:6~8に設定し、それ以上の電圧を印加する場合は質量比1:5が最適値であることが分かった。別種のPVCでも同様の結果が得られ、80V印加時に可塑剤質量比1:4と比較して、1:6のPVCゲルアクチュエータでは変位量が約44%増加した。 PVCゲルアクチュエータの駆動原理に大きく係るのがPVCゲル内に形成される高電荷密度層である。電気応答性を向上させることを目的として、高誘電率フィラーを充填し、特性評価を行った。高誘電率フィラーを充填したPVCゲルアクチュエータは、充填無しと比較して、80V印加時の変位量が可塑剤質量比1:4で約29%減少し、1:8では約12%減少した。変位量減少の要因として、フィラーの充填により、柔軟性が低下したためと考えられる。また、フィラーを充填したPVCゲルアクチュエータは電流値が1/2程度減少し、低消費電力化に効果があることを確認した。この実験を架橋塩ビでも実施したが、同様の結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2023年度に塩素化PVC及び架橋塩ビを用いたPVCゲルアクチュエータの作製と評価や、PVCゲルの誘電率向上を目的としてフィラー充填などを実施することとなっていた。いずれも実施済みであり、電流値の大幅な減少を確認しているが、柔軟性が低下するという副次的効果により変位量の大幅な改善には至っていない。可塑剤含有量を増加させることで変位量が大きくなることを確認しているため、架橋塩ビやフィラーを充填したPVCゲルにおいても可塑剤含有量の最適値を明確にすることにより、低電圧化が実現できると判断し、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年、2023年度の研究成果を踏まえ、可塑剤含有量の調整により柔軟性を維持させたPVCゲルのフィラー等の効果を評価する。また、電極材料の最適化を目的として、電圧印加時のPVCゲルの接触角を計測して濡れ性を評価し、電極材料の系統的探索を行う。
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