研究課題/領域番号 |
22K04014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
荒木 望 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (10453151)
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研究分担者 |
中谷 真太朗 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (10781700)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ブレイン・コンピュータ・インタフェース / 定常状態視覚誘発電位 / 視交叉 / 視覚誘発電位 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚刺激と頭皮上脳波を用いたブレイン・コンピュータ・インタフェース (BCI) は簡便な非接触型のインタフェースとして利用が期待されている.これまでの視覚刺激型 BCI は選択したいメニューなどをそれぞれ異なる周期で点滅させ,どの周期で点滅しているメニューを見ているのかを脳波から分類するパターン分類型のインタフェースであった.これに対し本研究では,視覚野における脳波の強度分布を評価することで点滅パターンが表示された画面のどこを見ているかといった注視点を無段階に推定する注視点推定型の新しいインタフェースの構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,一定周期の明滅を提示する視覚刺激により発現する脳波(定常状態視覚誘発電位: SSVEP)を利用した視覚刺激型ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)において,ヒトの視神経の生理学的な特徴によって生じる脳波の強度分布を用いる新たな手法の確立を目指している. 令和4年度は本研究課題での検討項目である「注視点に対する刺激位置の変化と視覚野での SSVEP の強度分布調査」および「刺激位置と SSVEP 強度分布との関係式構築」について取り組んだ. このうち,「注視点に対する刺激位置の変化と視覚野での SSVEP の強度分布調査」に関しては本研究課題提案時に予想していた,注視点に対して刺激位置と同側の脳波強度が増加するパターンに加えて,刺激位置と逆側の脳波強度が増加するパターン,刺激位置に関わらず左右いずれかの片側の脳波強度が増加するパターンの3パターンが存在することを確認した.この結果については実験時の選択的注意(実験対象者が実験時に意図している注意対象)が注視点以外に向いている可能性があり,現在も調査を行っている. また,「刺激位置と SSVEP 強度分布との関係式構築」については,予想していた同側の脳波強度が増加するパターンに限って手法等の検討を行った. 特に,上記の脳波強度のパターンについては実験方法が主要な原因ではないかと考えており,今後は実験対象者の選択的注意が注視点に向くように実験系の再構築を行ったうえで研究を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で目的とする「ヒトの視神経の生理学的な特徴によって生じる脳波の強度分布を用いる新たな BCI 手法の確立」を達成する上で,本研究課題申請時に令和4年度に行う予定としていた項目は,(1) 注視点に対する刺激位置の変化と視覚野での SSVEP の強度分布調査,(2) 刺激位置と SSVEP 強度分布との関係式構築,の2点である. (1) については,本研究の先行研究(基盤C,課題番号 19K04298)で取得したデータと今回計測したデータを合わせて解析し,当初予想していた注視点に対して刺激位置と同側の脳波強度が増加するパターンに加えて,刺激位置と逆側の脳波強度が増加するパターン,刺激位置に関わらず左右いずれかの片側の脳波強度が増加するパターンの3パターンが存在することを確認した.本研究ではこのパターンの違いが実験方法に由来しているのではないかと考え,文献調査や追加実験を行い,実験時の選択的注意(実験対象者が実験時に意図している注意対象)が注視点以外に向いている可能性を含めて,現在も調査中である. (2) については,当初予想していた同側の脳波強度が増加するパターンに限って手法等の検討を行っているが,手法の一般化には至っておらず,検討を続けている段階である.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況でも述べたように,当初予想していた脳波の発現パターンの他に2つのパターンが生じていることを確認しており,その理由として実験対象者の選択的注意が注視点以外に向いている可能性がある.このため,現在,視線追跡装置をより感度および分解能の高いものに変更するとともに,注視点に文字などを表示して特定の文字が出た場合にスイッチを押させるなどのタスクを課すことで,選択的注意が注視点に向くように実験系の再構築を行っている.今後は新たな実験系を完成させるとともに,脳波の強度分布がどのように変化するかを改めて確認して本研究を推進していくものとする.
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