研究課題/領域番号 |
22K04015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
池俣 吉人 帝京大学, 理工学部, 准教授 (70467356)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 受動歩行 / 歩行ロボット / 歩行原理 / 歩行支援機 / 原理 |
研究開始時の研究の概要 |
受動歩行はヒトの歩行に近いとよく言われる.ヒトは「受動歩行」のような力学現象を巧く利用して歩いているものと考えられる.研究代表者は20年以上に亘って受動歩行やヒト歩行の研究を行っており,様々な歩行の基礎原理を発見した.本研究は,原理発見から工学応用へと発展させた研究であり,受動歩行に基づいた歩行ロボットの開発,その歩行ロボットの原理に基づいた歩行支援機の開発を目的とする.受動歩行に基づくことで,移動効率が大変高い歩行ロボットが実現できるものと考えられる.また,原理に従うことで,安心・安全・安価な歩行支援機が実現できるものと考えられる.
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研究実績の概要 |
本年度は,水平面歩行が可能な2D受動歩行ロボットを開発した.その成果の概要は以下のようになっている. 研究をよりスピーディかつ効率的に行うために,3Dプリンタを積極的に用いて受動歩行ロボットを製作した.アルミ合金のロボットに比べて,製作の時間やコストは1/10以下ほどとなった.受動歩行ロボットをトレッドミル上で歩かせると,左右方向に転落することなく,長時間歩くことがある.しかしながら,これは偶然的な歩行であり,相当回数の試行錯誤が必要となる.そこで本研究では,ロボットの左右をアクリル板で挟むことで,左右方向の転落を防いだ(2次元拘束機の開発).これにより,長時間の連続歩行が可能となった. 受動歩行に基づいた水平面歩行ロボットの多くは,ロボット本体に動力をもつ.一方,本研究では,歩行支援機への応用を考慮して,ロボットの外部から動力を与えることにした.具体的には,受動歩行ロボットの膝をおもりの付いた紐で牽引するだけで,水平面歩行を実現することに成功した.牽引おもりの質量を変えることで,歩行速度を調整することができる.最低歩行速度は時速2.0km,最高速度は時速3.2kmとなった.ここで興味深いことに,歩行速度が大きくなると,おもりの質量が単調に増加するのではなく,質量が徐々に減少し,時速2.8kmのときに最小となった後,徐々に増加した.この原因の一つが,遊脚足と床面との衝突にあることがわかった.また,本ロボットのSpecific cost of transport ct(移動コスト,ctの値が零に近いほど良い)を計算すると,ct=0.085~0.10となった.一方,ヒト歩行の場合,ct=0.2となる.このことから,本ロボットは,ヒトに比べて約半分のコストだけで歩いていることになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,3Dプリンタを用いて2D受動歩行ロボットを開発し,おもりで牽引することだけで水平面歩行を行えることを示した.その歩行の移動コストは,ヒト歩行に比べて半分ほどであり,非常に高効率な歩行を実現できたと言える.これは,水平面歩行の本質的なところを抑えていることが要因だと考えられる.以上のことから,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,足形状や足首などに注目した歩行ロボットの開発に着目する.受動歩行ロボットの場合,足の形状は円弧となっている.この理由は,円弧足のブレーキ効果により,支持脚膝の高い保持力を発生させるためである.しかしながら,ブレーキ効果によりエネルギーが大きく損失することになる.移動効率のさらなる向上を考慮してロボットの足などの開発を視野に入れる. また,ヒト歩行の床反力の垂直分力は,二峰性の波形となることが知られている.生体力学分野では,床反力の二峰性はヒト歩行の重要な特徴となっている.本研究では,床反力も着目する.
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